熱中症は真夏に限らず、湿度が高く発汗しづらい梅雨の時期から注意が必要になります。熱中症への対策としては食事からも水分とミネラルを補給することが有効だと、漢方にも詳しい管理栄養士の小原水月さんは話します。そこで、意識したい食習慣と、熱中症に効果的な漢方薬について教えてもらいました。
梅雨の時期は「熱中症」に気づきにくい
高温多湿な環境下で体内の水分とミネラルのバランスが崩れたり、体内の調整機能が低下したりして熱中症が起こります。具体的な初期症状は、めまいや頭痛、吐き気、全身のだるさ、不快感などです。初期のうちに対策ができると回復も早いですが、悪化すると命に関わることもあります。
梅雨でもマスクをつけていると熱中症リスクが上がる
マスクをつけていると肌から熱が逃げにくく、体感温度が上がり、呼吸数が増えるなどして脱水が起こります。高温多湿で体温調整が難しい梅雨の時期にマスクをしていると、熱中症になるリスクが高くなるおそれがあります。周囲の人と十分に距離がとれる場所ではマスクを一時的にはずし、休憩することも必要です。
「隠れ脱水症」の可能性
梅雨の時期は、体温調節や水分循環の機能が暑さや湿度に対して働きづらく、熱中症の原因である脱水が起こりやすくなりますが、脱水の一歩手前まで進んでも自覚症状がないことも多いです。
尿の量や回数が減る、尿の色が濃くなる、口の中がねばつく、汗をかいていない、爪を押した後に赤みが戻るまでに3秒以上かかる、などのうち、1つでも当てはまったら隠れ脱水が起きているかもしれません。
めまいや頭痛、吐き気などの自覚症状がない場合でも速やかに対処をしましょう。具体的には涼しい場所へ移動して体を冷やし、ミネラルを適度に含んだスポーツドリンクや麦茶などを摂って体を休ませてください。
熱中症予防には食事の見直しが大事
熱中症予防のために必要な水分とミネラルを摂るために、野菜をたっぷり使った汁物やスープを食事に取り入れるのがおすすめです。汁物もバリエーションがあると、暑くて食欲がわかないというときに役立ちます。
ガスパチョ
ガスパチョは、玉ねぎ、きゅうり、トマト、にんにく、バゲット、オリーブオイル、酢などを使ったスペインやポルトガルで親しまれている冷製スープです。複数の野菜を使うことで、さまざまなミネラルを摂ることができるため、熱中症対策にもぴったりです。材料をミキサーにかけるだけの手軽な調理で、火を使わないので暑い日でも調理しやすいスープです。
ミネストローネ
イタリア語で「具だくさんのスープ」を意味するミネストローネ。常備しているホールトマト缶や冷蔵庫にある野菜など、ビタミンやミネラルを含む食材をたくさん使うことで、効率的に栄養素を摂ることができます。また、お米やパスタを一緒に煮込めば、一皿で満足できる料理になります。
味噌汁
カリウムやカルシウム、マグネシウムなど数多くのミネラルが含まれている味噌は実はトマトやピーマン、ズッキーニなどの夏野菜との相性もよいです。食欲がないときには、冷やし味噌汁もおすすめです。冷たい味噌汁になじみがないかたは、薬味やきゅうりを入れた冷や汁を参考にすると、イメージしやすいと思います。