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大塚愛の焼肉、モー娘。のパスタ…恋愛ソングならドリカムのサラダが最強!? 聴けば食欲が湧く「食べ物の歌」

写真のシングルは2005年発売。MVを収録したDVD付も同時発売された
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歌謡曲・J-POPの題材に「食べ物」が使われることもしばしば。暑さで食欲が減退しがちなこの時期に“喝”を入れるべく、1980〜1990年代のエンタメ事情に詳しいライター田中稲さんが、つんく♂プロデュースの名曲からアニメのオープニングテーマまで、「食べ物が出てくる歌」を縦横無尽に語ります。

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体力気力が必要なこの季節、暑くて食欲がないなんて言ってられない。食べてパワーを出さなければ! ということで、今回は「食べ物が出てくる歌」である。

スタミナをつけるならなんといっても焼肉。このガッツリ系メニューを恐ろしく色っぽく歌ったのが大塚愛さんの『黒毛和牛上塩タン焼680円』。ただ、焼肉を食べる歌ではなく「肉=私」という世界観。エロスと焼肉をリンクさせた大塚さんの歌詞表現は、タンだけに舌を巻くほどのうまさである。

焼肉以外では、食欲がないときでも不思議とズルズルッといけるラーメンがいいだろう。シャ乱Qの『ラーメン大好き小池さんの唄』は勢いがあるので、食欲とともに元気も出る。つんく♂さんは、食を絡めた名曲がとにかく多い!

カレーライス、スープなどの煮込み系は失恋フラグ?

モーニング娘。の『ザ☆ピース!』も遠回しながらその一つ。選挙のあとは家族で外食に行くという歌詞があり、実際、参議院選挙投票日だった7月10日、「#投票うぃって」がトレンドに。多くの方がこのコースを辿っておられることが実証された。私も投票のあと母とパン屋に行きチュロスを食べた。ピースピース!

つんく♂プロデュースは「食」にまつわる名曲が多い(2001年撮影、Ph/SHOGAKUKAN)
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タンポポの『乙女 パスタに感動』は彼とのデートを待ちわびる女の子の一週間が描かれている。あえてデート当日の日曜に重点をおかず、平日の昼休みに食したスープパスタをタイトルに押し出す妙技! 週末が近づくにつれ高まっていく女の子のワクワクがより伝わってくるではないか。

ハッピーソングばかりではない。ソニンさんの『カレーライスの女』はなかなかヘビーだ。上京した女の子が恋にのめり込み、木っ端みじんにフラレてしまう。彼が去った後、カレーが上手に作れるようになった以外、何も残っていない。「私今まで何やってたんだろう」という虚しさが溢れ出てツラい! この歌を聴くと私は毎回大声で叫びたくなる。

「カレーがうまく作れるようになっただけでも大したものよーッ」と!

恋愛において手料理は大きなアドバンテージとなるが、カレーライスやスープなどの煮込み系は、歌の世界では意外に失恋フラグだったりする。

斉藤由貴さんの『土曜日のタマネギ』(作詞:谷山浩子)では、土曜の夜はりきってポトフを作っているのに結局彼は来ず「私なんて、どうせ鍋にへばりついたこのクッタクタのたまねぎよ……」と落ち込んでいる。松任谷由実さん(荒井由実時代)の名曲『CHINESE SOUP』も料理とともに、ドロドロした気持ちを具材とリンクさせ、さらにドロドロドロドロくらいに煮詰めている。味わいが深すぎて……。

斉藤由貴が歌う『ポトフ』は…(写真は1987年、Ph/SHOGAKUKAN)
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