TUBEがいる限り、夏を嫌いになれない
「夏といえばTUBE」と言われるほど名曲は数多いが、なかでも「歌わねば! 踊らねば!」と心が前のめりになるのが『あー夏休み』。ああ我慢できない! 少し字数をお借りして、神イントロを歌わせてほしい。
♪パラララパラララパララララ…スカンカンカカンカンカカンカンカデッデッデッデッ・シャーッ!! くーっ、ありがとうございます。テンション上がる!
しかしこの曲、初めて聴いたときは本当にビックリした。『あー夏休み』(1990年)。サマーホリデーでもバケイションでもなく「夏休み」。しかも「OH」ではなく「あー」!
今となれば、ニッポンの夏イヤッホー、夜店でイカ焼きイェーイ、あの子の浴衣姿ギャー的な夏休みの開放感がこれほど想像できるタイトルはないと思う。が、当時はビックリした。カッコイイ横文字路線からなぜ急に!
実はこの歌もカッコイイ横文字の予定だったようだ。過去に報じられた記事などによると、歌詞を担当した前田亘輝がつけたタイトルは「Oh! Summer Holiday」。しかしプロデューサー・長門大幸がOKを出さず、ヤケクソで「あー夏休み」にし、他の歌詞もそのタイトルに合わせて日本風にしたという。結果大ヒットするのだから、いやもうなんだか勉強になる話である。
彼らもしっくり来たのだろう。それ以後、TUBEの歌詞やタイトルに日本語や歌謡曲風カタカナが増え、風流感が増した。『ガラスのメモリーズ』『さよならイエスタデイ』は特に、昭和のムード歌謡フレイバーが色濃いが、それが良い! TUBEの演奏、歌、色気、そして盛り上げ力の唯一無二感をガツンと感じる名曲である。
スタイリッシュモードを外したことで逆に洗練されたというか、横文字のブランド品にこだわっていたのが、ある日オッサンの着る物と避けていた浴衣と甚平のラクチンさを知り、さらにそれが超似合ってモテモテになり、自己のアイデンティティを確立した感じといおうか!