年をとると長時間眠れなくなる理由
一般的に、年をとるほど眠りが浅くなることが知られています。その点について櫻井さんは「年をとってくると長時間眠れなくなるのは、ある意味当然のこと」と指摘します。
“腎”が弱ると夜通し眠れなくなる
「中医学では、“腎”という臓腑が精力や生命エネルギーを作り出していると考えます。腎は、加齢によって次第に弱っていきます。腎は体内でうるおいをつくり、体の熱を調整する役割も担っているため、腎が弱れば熱が抑えきれなくなり、動悸やのぼせが生じたり、焦燥感が強くなって夜通し眠れなくなってしまうのです」
“肝”が弱ると眠りが浅くなる
「また、“肝”が弱ると“血”をしっかりと貯めることができなくなり、メンタルが不安定になるため、眠りが浅くなってしまいます」
それでも、やはり個人差があるようです。
年をとっても長く眠れる人は何が違うか
「歳をとっても長く眠れるかたと、細切れ睡眠になるかたの違いは、臓腑がどれだけ強いか、日々の食生活のバランスがいいか、胃腸の調子が整っているかで変わってくると考えられます」
偏った食生活も原因に
「特にストレスや悩みがないのに寝つきが悪い」という人には、「食生活を振り返る」ことを櫻井さんはすすめます。
“血”の不足は不眠に直結する
「甘いものや脂っこいもの、毎日のようにお酒を飲むような生活を続けていると、体内に不要物が溜まっていきます。
不要物は体の中で熱をつくり、気持ちをたかぶらせるので、イライラしたり、カッカしたりしてなかなか寝つけいないことにつながっていきます。またそれらの食べ物からは、体を動かすエネルギーや“血”、うるおいをつくることはできません。
“血”の不足は不眠に直結するため、食生活を見直すことで、不眠はもちろん、それ以外の不調にも対処することができるはずです」
◆教えてくれたのは:漢方コンサルタント・櫻井大典さん
漢方コンサルタント。国際中医専門員。日本中医薬研究会会員。漢方薬局の三代目として生まれ育つ。カリフォルニア州立大学で心理学や代替医療を学び、帰国後はイスクラ中医薬研修塾で中医学を学ぶ。中国の首都医科大学附属北京中医医院などでの研修を修了し、国際中医専門員A級資格を取得。これまで年間数千件の健康相談を受け、延べ4万件以上の悩みに応えてきた。今年7月、病気にならないための食事と睡眠の新常識をまとめた『予約の取れない漢方家が教える 病気にならない食う寝る養生』を出版。https://yurukampo.jp/