急に白髪が増えたり、同年代の人に比べて白髪が目立つようになったりしても、年齢のせいだとあきらめていませんか? 漢方にも詳しい管理栄養士の小原水月さんによると、白髪が生えてくる原因は生活習慣も関係しているそうです。そこで、すぐ実践できる白髪対策として、食事に取り入れたい食べ物や効果が期待できる漢方薬について教えてもらいました。
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白髪が増える原因
髪にはもともと色がついておらず、髪の根元にある色素細胞で作られるメラニン色素によって着色されています。この色素が少なくなる、もしくはまったく作られなくなると白髪が伸びてきます。
一度白髪になっても、原因を取り除き、再びメラニン色素が作られるようになれば、黒髪を取り戻すことも可能です。では、メラニン色素が作られなくなる原因にはどんなことがあるのでしょうか?
加齢
加齢によって色素細胞が老化すると、機能が衰えます。すると、メラニン色素を作り出す能力も低下します。
遺伝的要因
白髪と遺伝の関係は完全には解明されていませんが、白髪の多い家系であれば、子孫も白髪になりやすいという傾向がわかっています。
栄養不足、ストレス・疲労
メラニン色素を合成するのに必要な栄養素が不足していたり、ストレスなどで血流が悪くなったり、疲労などで代謝が低下して、細胞の新陳代謝がスムーズに行われなかったりすると、白髪になりやすいです。
栄養不足、ストレス、疲労などが起こると、栄養素や酸素が色素細胞へ届きづらく、老廃物や二酸化炭素の回収に滞りが起こります。これにより、メラニン色素を合成する機能が低下するのです。
病気のサイン
貧血や甲状腺機能低下症、腎不全といった病気でも白髪が増える場合があります。白髪が急増した時期に不調もあらわれたなど、気になることがあれば、かかりつけ医に相談しましょう。
白髪予防におすすめな血の巡りをよくする食べ物
白髪を予防したり、黒髪を取り戻したりするには、十分に栄養を含んだ血液が巡る必要があります。
血液を構成する栄養素は、たんぱく質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルと多岐にわたりますが、特に注目したいのがビタミンB12です。造血ビタミンとも呼ばれるビタミンB12は、赤血球をはじめとした血液細胞の生産・発達において重要な働きをします。しかし、植物性の食品にはほとんど含まれていないため、1日1品はビタミンB12が摂れる動物性食品を摂ることが大切です。
しじみ
しじみには、可食部100gあたり68.4μgのビタミンB12が含まれており、これは貝類の中でもトップクラスです。さらに、ビタミンB12は水に溶けやすいので、しじみの味噌汁など、汁ごと食べる調理法がぴったりでしょう。
土用しじみと呼ばれる7~9月に獲れるしじみは、産卵期前で太っており、ぷりぷりとした食感を楽しむことができます。
さば
安価で手に入れやすいさばもビタミンB12を多く含みます。さばは6月~翌年2月と旬の長い魚ですが、6~9月には腹部にゴマを散らしたような模様が特徴のゴマさばが多く出回ります。もちろん、手軽に食べられる塩さばや、さばの缶詰でもビタミンB12の摂取は可能です。
ビタミンB12は光や空気によって酸化しやすいので、食品を保存する際は、必ず密閉してください。
卵
通年安価で手に入る卵も、高ビタミンB12食材です。ビタミンB12は胃液と反応することで吸収率が高まるので、よく噛んで食べるといいでしょう。細かくなった食べ物は表面積が増えて胃液と速やかに反応するので、ビタミンB12がよく吸収されます。
卵は加熱しても柔らかい食材なので、しっかり噛めるごはんと一緒に食べたり、にんじんシリシリやゴーヤチャンプルーのように野菜と一緒に調理したりすると、咀嚼を増やしやすくなります。