入浴時に最悪な事態を招かないための重要なポイント
入浴の仕方にもポイントがあります。熱いお風呂が好きな人は注意です。
「食後低血圧」とは?
「熱いお湯ほど体温は早く上昇します。お湯の温度は41度以下にして、浸かる時間は10分を目安にしましょう。入浴前にかけ湯をして少しずつ体を温めていくのも、心臓への負担を軽減できます。半身浴も心臓の負担を軽減できますが、長時間の入浴してしまうと意味がありません。
また、食事や飲酒をすると血圧が下がります。この状態を食後低血圧と呼び、冬場にはヒートショックの引き金になる可能性があるので、食後1時間以内の入浴は避けてください。精神安定剤や睡眠薬などを服用したあとも同じです。
浴槽から出るときには、ゆっくりと立ち上がります。体が温まって血圧が低下している状態で急に立ち上がると、脳まで血液を運ぶことができずに、めまいや失神を起こすことがあります。もし立ち上がれなくなったときには、顔が沈む前に浴槽の栓を抜いてお湯を減らしてください」
普段は問題のない温度差でも、体調が悪いとヒートショックのリスクは上がります。
「体調が悪いときは体の予備力が少なくなっていますので、体が温度差に順応できない場合が多い。新型コロナウイルスに感染したときはもちろん、ワクチン接種後に体調が悪い場合も、入浴には気を付けてください」
◆教えてくれたのは:医学博士・健康科学アドバイザー・福田千晶さん
1988年に慶應義塾大学医学部卒業。医師として東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学科勤務を経て、1996年より、フリーランスの健康科学アドバイザーとしてテレビやラジオ番組への出演、執筆、講演などで活動。『そもそも血糖値ってなんですか?』『高たんぱく質レシピ151』 (ともに主婦の友社)、『危ない! 命を縮める健康法』(アントレックス)など著書・監修書多数。https://fukuda-chiaki.com/
取材・文/小山内麗香