健康・医療

冬は便秘に注意!コロナ禍の生活習慣やマスクも影響 医学博士「寒くても便意を逃さないように」

トイレ
冬の便秘、原因と対策は?(Ph/photoAC)
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冬は便秘になりやすい季節であることをご存知ですか? しかもコロナ禍による「巣ごもり便秘」も加わって、ここ数年で便秘になる人が増加しているといいます。便秘の原因や解消法について、医学博士で健康科学アドバイザーの福田千晶さんに聞きました。マスクも関係が?

便秘は女性の大敵

日本内科学会によると、便秘とは「3日以上排便がない、もしくは毎日排便があっても残便感がある」という状態だとされています。

「コロナ禍で、診察室でも“今までは便秘とは無縁だった”という便秘初心者さんが増えたことを実感しています。コロナによる自粛生活は、冬に便秘になる理由と共通するところが多いのです」(福田さん・以下同)

肌荒れや吹き出物などの原因に

ちょっと便が出ないくらい…、と侮ってはいけません。便秘は女性の大敵です。

「便秘になると、下腹がポッコリと出てシルエットが悪くなるだけではなく、有害物質が腸内に蓄積されやすくなり、腸内環境が悪くなります。有害物質が腸壁から血液中に吸収されて全身を巡ると、肌荒れや吹き出物などの原因にもなります」

肌荒れイメージ
便秘を放っておくと肌荒れの原因にもなる(Ph/photoAC)
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冬の寒さとコロナ禍のWパンチで、便秘の症状が加速?

冬に起こる便秘の主な原因は、「寒さ」「運動不足」「水分不足」です。

「寒くなって体が冷えると血のめぐりが悪くなり、水分や栄養が体内に届かなくなります。すると臓器の働きが低下するので、大腸が便を送り出す働きも鈍くなります。さらに、寒いからと外出しなくなると運動不足になり、腸への刺激が減って、ますます腸の働きを鈍らせてしまいます。

汗をかかない冬は水不足を自覚しにくく、水分補給を忘れがちです。しかし、空気が乾燥しているので、体から水分は奪われています。水分が不足すると、腸の内容物が硬くなって、排出されにくくなるのです」

マスク
マスクの影響で余計に水分不足になっている(Ph/photoAC)
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冬特有の原因に加えて、新型コロナウイルスの流行により、便秘になりやすい環境になっています。常にマスクを着用していることで喉の渇きを感じにくい、ジムやヨガに行けず運動不足になる、室内でも換気のために窓を開けるため体が冷えやすい、などがあります。

便意を逃すことも便秘の原因に

「たとえば主婦で、いつもは家族が出掛けたあとが定番のトイレタイムだった人は、家族がリモートワークやリモート学習で家にいることで、朝のルーティーンが乱れて便秘になった、という悩みも聞きます。また、円安などによる物価の上昇で、食費を節約している人もいるかもしれません。食物繊維や脂質が不足すると、スムーズに排せつができずに便秘になるリスクが高まります」

寒い部屋で目覚めると、少々便意があっても暖かい布団でぬくぬくと過ごしてしまい、そのうちにトイレに行かなくてもよくなった、という経験はないでしょうか? しかし、便意を逃してはいけないと福田さんは指摘します。

トイレ
便意を我慢してしまうことも原因のひとつ(Ph/photoAC)
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「便意と尿意の違いは、タイミングを外すと便意はおさまってしまうこと。冬は寒くて暖かい部屋から出たくないから、衣服を着こんでいてトイレに行くのが面倒だからと、便意を我慢してしまうことがありますが、これも便秘の原因になります」

こまめな水、朝食、お風呂…生活改善で便秘を撃退

理想的な便はバナナ状で、適度な硬さでも7~8割が水分だといいます。

「喉が渇いていなくても、こまめに水を飲むことで便を適度な硬さにしてくれます。特に朝食をとると腸が活発に動いてくれるので、便秘気味の人は抜かないようにしましょう。食物繊維が豊富なきのこや海藻類、発酵食品のヨーグルトやみそは、腸内環境を良くするのでおすすめです。

ヨーグルト
海藻類、発酵食品を朝から積極的にとって腸内環境を整えよう!(Ph/photoAC)
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寒い外に出なくても、ストレッチやラジオ体操をすることで腸周りの筋肉を十分に動かすとともに、腸を刺激するマッサージになって腸の働きが良くなります。冬の間は毎日湯船につかるなど、体を温めることも大切です。また、ストレスも便秘の原因になるので、お風呂に好きな香りの入浴剤を入れるなど、リフレッシュタイムにするのもいいですね。

便秘には種類があり、大腸の病気や腸の癒着によって起こる場合もあります。生活改善で便秘が解消しない場合は、消化器科を受診してください」

◆教えてくれたのは:医学博士・健康科学アドバイザー・福田千晶さん

医学博士・健康科学アドバイザー・福田千晶さん
医学博士・健康科学アドバイザー・福田千晶さん
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1988年に慶應義塾大学医学部卒業。医師として東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学科勤務を経て、1996年より、フリーランスの健康科学アドバイザーとしてテレビやラジオ番組への出演、執筆、講演などで活動。『そもそも血糖値ってなんですか?』『高たんぱく質レシピ151』 (ともに主婦の友社)、『危ない! 命を縮める健康法』(アントレックス)など著書・監修書多数。https://fukuda-chiaki.com/

取材・文/小山内麗香

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