F子の身内から「ついさっき、永眠しました」
手術の翌日も、その翌日も、私はF子とLINEでやり取りをしたり、電話で話したり。
「私さ、何か困ったことがあったらアンタに世話になろうとしていたんだけど、アテが外れちゃったよ」と言えば、F子も、「まったくでぃ。私もそのつもりでいたけど、これじゃ、しょうがないよねぇ」と答える。
いままで通りのやり取りだけど日に日にF子の声に力がなくなってきているのが気になっていたけれど、お腹に一文字の手術傷のある私は自分のことで手いっぱいだった。
そんな私が退院して先日、JALカードのサービスのひとつ、「どこかにマイル」で長崎往復のチケットをゲットしたの。
当日は富士山の頂上まで見下ろせる快晴。それを見ていたら、入院中、F子と交わした話のあれこれがやけに耳に鮮やかによみがえってきたんだわ。
「ついさっき、永眠しました」
F子の身内から電話が入ったのは私が退院した9日後だった。そんなバカな話がある?
「私、死ぬかもよ」と言った2か月後に人は死ぬ?
すい臓がんは末期までわからないというけれど、それにしてもあんまりじゃないの!!
お葬式に出て、遺影になった彼女を見ても、納得いかなかった私が旅の空を眺めて「ああ、もうF子はいないんだな」と腑に落ちたの。
そして、すい臓がんは予兆がほとんどないと言うけれど、今思えば異変らしきことはいくつかあったな、とも。
◆ライター・オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。