陥りがちな「紙ストレス」の罠
「書類が整うことの最大のメリットについて、私が出会った多くの人が口にされるのは、『探す時間が減ること』です。書類がさっと出てくれば、その場ですぐその『コト』に取り掛かり、完結できるので家事効率が大きく上がるのです」
「探すこと」が悪循環の始まり
たとえば、こんなケースが想定されると長野さんは言います。
「仕事から帰宅した後、同僚から『来月の1、2週目の土日どちらか出勤してほしい』と連絡がきた場合。そこであなたは、『子供の運動会の日程がその辺だったかも。確認して返事をしよう』と考えます。
しかし、学校の行事予定を確認しようとしたら、思っていたところに書類が見当たらない。探すうちに数十分が経ち、書類を見つけるのを諦め、子供に聞いたり、ママ友にLINEで聞いたり──。それからやっと相手に返事ができる。
それならまだよいほうで、そうこうするうちに、返事すること自体を忘れてしまうこともあります。書類管理が苦手な方は、こうした悪循環に陥りやすく、対応が後手になりがち。1つのコトを完了するのに、スムーズな進行と比べると、何倍もの無駄が発生します」
時間だけでなく心のゆとりを失う
そして、書類を探している時間は心のゆとりまで奪うと長野さんは指摘します。
「平日の夜に貴重な数十分を割いて、学校の行事予定を探すこと自体がストレスですが、家の中のいろいろな場所を探すほどに散らかってもいきます。余裕がないせいで子供につい声を荒らげたり、管理できない自分を反省したり……。片づけていない書類は、時間だけでなく、心のゆとりまで奪ってしまいます」