健康・医療

歯周病予防に効果的な食材は「えのきたけ」?予防のための食材や生活習慣、漢方薬を管理栄養士がアドバイス

歯を触る女性
歯周病の予防につながる習慣や食事とは?
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歯周病の原因は細菌による感染ですが、ホルモンバランスの変化によって発症しやすくなることを知っていますか? 漢方にも詳しい管理栄養士の小原水月さんによると、「生活習慣の改善が歯周病予防に有効」なのだそうです。そこで、歯周病予防のポイントと予防に効果的な食材、効果が期待できる漢方薬について教えてもらいました。

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歯周病になる原因は?

歯周病は細菌の感染によって起こり、歯茎や歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。腫れや出血を伴う場合もありますが、痛みはほとんどありません。

ホルモンバランスの乱れも歯周病の一因

歯磨きが不十分であることのほかに、ホルモンバランスの変化により、歯周病になりやすい口内環境になる場合もあります。なぜなら、ホルモンバランスの変化により唾液が出づらくなると、口が乾燥する「ドライマウス」になりやすくなるからです。

りんごを齧ろうとする人
ドライマウスは歯周病の敵!
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唾液には、粘膜を保護する、口腔内を清潔に保つ、細菌の増殖を抑える、傷ついた組織を修復するなどの働きがあります。唾液が十分に分泌されることが、歯周病予防に欠かせない条件といえます。

歯周病になりやすい生活習慣

ドライマウスのほかにも、歯周病を進行させる生活習慣がいくつもあります。

・歯ぎしり、食いしばり
・嚙み合わせが合っていない
・口呼吸
・食べたり、食べなかったりする不規則な食習慣
・気がつくと甘い飲み物やお菓子を食べている
・早食いによる咀嚼減
・慢性的な寝不足
・ストレス

歯ぎしりや食いしばりは横から加わる力に弱い歯周組織を傷めやすく、不規則な食事や栄養の偏りは歯周組織の抵抗力を弱めるといわれています。また、噛み合わせが悪かったり、甘いものをよく食べたりすることはプラーク増殖の原因に。そのほか、寝不足やストレスなどは体の抵抗力を下げてしまいます。

歯を食いしばっている人
歯周病の原因になる習慣をチェック
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このような生活習慣を改善したり、定期的に歯科を受診し、専門的なクリーニングを受けたりすることも、歯周病予防に効果的です。

歯周病予防に効果的な食材

歯周病予防におすすめの食材はえのきたけです。えのきたけに含まれる食物繊維には歯の表面をきれいにする働きがあり、摂取量を増やすことで歯周病予防効果が高まるとの報告もあります。

ザルにのったえのきたけ
えのきたけは歯周病予防にぴったりの食材
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えのきたけは噛み応えがあるため、自然と咀嚼(そしゃく)が増え、唾液の分泌量が増加します。唾液分泌量を増やすことはドライマウスの改善にも効果的です。

冬は鍋に入れるのが定番のえのきたけですが、なめたけにすれば常備菜としても食べられます。また、使いやすい大きさに切ってから冷凍保存しておくと、凍ったまま汁物や炒め物に使うことができて便利な上に、冷凍によって旨味が増すとも言われています。

生姜焼き
生姜焼きのような、食材の形が残っている料理もおすすめ
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えのきたけのほかにも、「食材の形が残っている料理」を選ぶことで、自然と咀嚼の回数を増やすことができます。たとえば、パンや麺よりも米、ハンバーグよりも生姜焼きを選び、よく噛んで食べるのがおすすめです。

ホルモンバランスが乱れやすい人には漢方もおすすめ

歯肉炎があるなど、歯周病の進行が心配な人には漢方もおすすめです。漢方薬は自然由来の成分でできており、一般的に西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。また、毎日決められた量を服用するだけでよいので、手軽に続けられるのも利点です。

漢方茶
歯周病になってしまったときに有効な漢方薬2つ
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歯周病などの口腔トラブルは、ホルモンバランスや水分代謝の乱れ、歯茎の栄養不足などが原因として考えられます。口腔トラブルの対策には、以下の働きを持つ生薬を含んだ漢方薬を選び、歯周病の根本改善を目指します。

・血流や水分の循環をよくして口の中に潤いを与える
・口の中の痛みを和らげる
・口の中の毒素を排出する
・消化・吸収機能をよくして栄養を歯茎に届ける

歯周病にお悩みの人におすすめの漢方薬2つ

・排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)

皮膚や口腔内などの膿の排出を促進するとともに、痛みにも働きかける漢方薬です。鼻炎や中耳炎にも応用されます。

・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

体表面の熱を冷ますことで、炎症と出血に働きかける漢方薬です。歯周病のほか、皮膚疾患や胃炎にも用いられます。

→黄連解毒湯について詳しく知る

漢方薬を始めるときの注意点

漢方薬は食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。

ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。

◆教えてくれたのは:管理栄養士・小原水月さん

小原水月さんの写真
管理栄養士の小原水月さん
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おはら・みづき。管理栄養士。ダイエット合宿所、特定保健検診の業務に携わりのべ600人以上の食事と生活習慣をサポート。自身が漢方薬を使用して体調回復した経験から、栄養学と漢方を合わせたサポートを得意とする。あんしん漢方(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)などで執筆中。

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