『ウ・ヨンウ』の父親が悪役で登場
他にも、注目の俳優たちが出演している。第1話の依頼人であるソジンを演じるハン・ヘジンは、2005年にドラマ『がんばれ!クムスン』で主演を務めた。2007年の来日時には、ドラマ『朱蒙(チュモン)』のプロモーションで『笑っていいとも!』(フジテレビ系)にも出演した。長年の韓国ドラマファンにとって馴染みある俳優だ。
最近の韓国ドラマ好きなら「あ!」と思うのが、シン・ソンハンの過去に関わりがある弁護士パク・ユソクを演じているチョン・ベスの登場だろう。
チョン・ベスは、大ヒットドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(2022年)で、主人公ウ・ヨンウを優しく見守る父親役を務めていた。他にも『今、私たちの学校は…』(2022年)では、学生の父親で消防署救急チーム長の役を演じたことも記憶に新しい。こども思いの父親役が多いために、韓国で「父親専門俳優」と言われるチョン・ベスだが、今回はシン・ソンハンの邪魔をする悪役の立場だ。
シン・ソンハンが幼馴染みのヒョングン、ジョンシクと通っているラーメン店がある。店主の娘キム・ソヨン役のカン・マルグムは、Netflixで配信されているドラマ『39歳』(2022年)に出演していた。出身地である釜山の訛りを活かしたサバサバとした話し方が、ソヨンのキャラクターにも合っている。
『39歳』は『離婚弁護士シン・ソンハン』と同じく、ユ・ヨンアが脚本を担当したドラマ。ユ・ヨンアが手掛けた作品には、映画『82年生まれ、キム・ジヨン』(2020年)や『7番房の奇跡』(2014年)などがある。大人の女性同士や困難を抱えた家族が、人生の悲しみや喜びを分かち合う姿を描いてきた脚本家だ。そんなユ・ヨンアが、『離婚弁護士シン・ソンハン』では大人の男性3人の支え合いを描いているのも、このドラマの見どころのひとつだ。
そして、ソジンとソヨンや、ソジンと後輩のラジオプロデューサー、パン・ホヨン(ユ・ジュへ)など、女性同士が支え合う姿をさりげなく描き出しているのも、ユ・ヨンア脚本作品の魅力だと感じる。
シン・ソンハンが取り戻そうとしているものは
『離婚弁護士シン・ソンハン』は、現在第10話まで配信されている。4月9日には第11話、10日に最終話が配信予定だ。
第10話では、母親が不倫して家族が壊れてしまったことを、14歳の少女が泣きながら吐露した。さらに、シン・ソンハンの幼い甥、ソ・ギヨン(キム・ジュンウィ)が「弁護してください」とひとりで事務所にやってきた。ソジンの息子・ヒョヌを含め、最終話に向けてこどもたちのストーリーが膨らんでいきそうだ。
シン・ソンハンが「不倫した側、暴力を振るった側」の事情を汲もうとするのはなぜなのか。依頼人の名誉を回復させるシン・ソンハン自身が取り戻そうとしているものは何なのか。彼の行動の謎が明かされるであろう最終話の配信が楽しみだ。
Netflixオリジナルシリーズ『離婚弁護士シン・ソンハン』
演出:イ・ジェフン
脚本:ユ・ヨンア
出演:チョ・スンウ、ハン・ヘジン、キム・ソンギュン、チョン・ムンソン、カン・マルグム、チャ、ファヨン、チョン・ベス、ノ・スサンナ、ハン・ウンソン
原作:カン・テギョン
◆ライター・むらたえりか
ライター・編集者。ドラマ・映画レビュー、インタビュー記事、エッセイなどを執筆。宮城県出身、1年間の韓国在住経験あり。https://twitter.com/eripico___
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