フィラリアやノミ・ダニも最盛期に
蚊が多い季節なので、フィラリア症の予防もしっかり継続したいところです。
「フィラリア症は蚊によって媒介される感染症で、蚊が身の周りに増える夏場は本当に要注意です。予防薬を動物病院で処方してもらいましょう。犬の予防薬はおやつタイプや錠剤、皮膚に滴下するタイプ、注射薬などがあります。猫は滴下タイプになります」
ノミ・ダニも夏場は活発化するので特に注意が必要です。春先から、あるいは通年で、対策をされている飼い主さんも多いと思いますが(関連記事)、予防薬の服用あるいは塗布を忘れずに。1種類でフィラリアもノミ・ダニも予防できる薬もあるので、かかりつけ医に相談しましょう。
さらに、夏季ならではのこんな注意ポイントも。
「犬も猫も音に敏感な子は、打ち上げ花火や雷の音を怖がったりします。屋外で飼っている子もそういうときは家の中に入れて、窓やカーテンを閉めてなるべく音を遮断したり、一緒にいてあげたりするといいですね」
夏レジャー、熱中症や水難事故、動植物に注意
夏は飼い主さん家族が長期休暇に入ったりして、愛犬を連れてアウトドアを楽しむシーンも増える傾向に。ここでも、注意すべきポイントがあります。
「犬を連れて行く場合は自動車での移動が中心になると思いますが、車内で熱中症にならないように気を付けてあげてください。ちょっとの休憩でも、犬を車内に置き去りにしないこと。ケージやキャリーは内部に熱がこもるので、真夏は保冷材や保冷シートを活用したいですね」
山や海に到着したあとは、水の事故や他の動物に注意が必要です。夏は多くの動植物が活性化するので、ヘビやハチに攻撃されたり、毒を持ったカエルをかまってしまったりして、事故が起きる可能性があります。
「アジサイのつぼみ、ソテツの種、キョウチクトウ(全体)など、犬や猫が誤食すると中毒を引き起こす植物もあるので、誤って口にしないように気を付けなくてはいけません。また、バーベキューなどをしていると、飼い主さんもつい気が緩んで、犬がタマネギを誤食したり、熱を持った道具に触れて火傷したりしやすいです。どんなときも、愛するペットのことは気にかけてあげてください」
◆教えてくれたのは:獣医師・山本昌彦さん
獣医師。アニコム先進医療研究所(本社・東京都新宿区)病院運営部長。東京農工大学獣医学科卒業(獣医内科学研究室)。動物病院、アクサ損害保険勤務を経て、現職へ従事。https://www.anicom-sompo.co.jp/
取材・文/赤坂麻実
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