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ロングヒット曲は『夏の日の1993』ほか多数!歌謡ライターが振り返る「1993(イチキューキューサン)の奇跡」

1993年はロングヒット曲の当たり年

さて、今でも多くの人の心をとらえて離さない『夏の日の1993』だが、不思議にも、1993年は、この手のロングヒットがとにかく多い。名付けて「1993(イチキューキューサン)の奇跡」!

この年、何か特別な電波が飛んでいたのか、気の長い音楽の神様がはりきったのか——。

結婚式の超定番曲、山根康広さんの『Get Along Together〜愛を贈りたいから〜』がリリースされたのもこの年だ。ちなみに、エンダーイヤー!! で有名なホイットニー・ヒューストンの『オールウェイズ・ラブ・ユー』もリリースは1992年だがヒットしたのは1993年!

結婚式での定番ソングとなった
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私も友人の結婚式に数度出たが、その多くで「エンダーイヤー!」がかかっていたし、『Get Along Together〜愛を贈りたいから〜』を、マイギター持参で上手に歌っていた人がいることを覚えている。

そのほかにも、『ロード』(THE虎舞竜)、『負けないで』(ZARD)、『島唄(オリジナル・ヴァージョン)』(THE BOOM)、『最後の雨』(中西保志 ※リリースは1992年)など、1993年にヒットした曲は世代を超えて愛され続け、口ずさめる歌が多い!

また、コムロブームの先駆けとなった、trfの『EZ DO DANCE』の発売も1993年。この曲は時代を変えるパワーだけでなく、粘り強さもあった。30年という時の流れのなか、クラブはもちろん、エクササイズやSNSなど、あらゆるシーンのニーズに応えられるエターナルなヒット曲に成長している!

ただ、1993年の世相を見てみると、決して華やかな出来事ばかりではない。皇太子・雅子さま御結婚、新幹線「のぞみ」が山陽新幹線で運行開始、レインボーブリッジが開通という素晴らしいニュースもあったけれど、経済面ではバブルがはじけて株価や地価が急下降。「リストラ」が流行語大賞候補に入るなど、苦しい時期でもあったのだ。確かに、なんでもないようなことが幸せだったと気付く年、それが1993年だったのかもしれない。

ZARD『負けないで』は応援ソングの定番に
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ただ、時代が混沌としているときほど、音楽シーンは強力なうねりが出て面白くなるのも事実。人々を鼓舞する歌、課題を投げかける歌、ストレートに絶望を歌う歌。停滞するエネルギーをかき回し、動かすように、いろんな歌が生まれていく——。

思わぬ、1993年のヒット曲の興味深さを知ることができた今回。このタイムトラベルに誘ってくれた『夏の日の1993』にお礼を言わねばなるまい。ありがとう、30年前の夏の日の君!

◆ライター・田中稲

田中稲
ライター・田中稲さん
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1969年生まれ。昭和歌謡・ドラマ、アイドル、世代研究を中心に執筆している。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)、『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)がある。大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し、『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。他、ネットメディアへの寄稿多数。現在、CREA WEBで「勝手に再ブーム」を連載中。https://twitter.com/ine_tanaka

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