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今や定番!首にかける「ネックファン」などミニ扇風機、買う前に知っておきたい注意点

黒いハンディファンを持つ手元
首にかける「ネックファン」などミニ扇風機が夏の必需品になりつつあるが、買う前に知っておくべきこととは?(Ph/イメージマート)
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連日の酷暑下で、屋外では少しでも暑さをやわらげようとミニ扇風機などを持ち歩く人の姿が目立つようになりました。実は持ち歩き用のミニ扇風機やクーラーはいくつか種類があります。家電ライターの田中真紀子さんに、その種類と、購入前の注意点を教えてもらいました。

小型の扇風機には手で持つハンディファンや、首にかけるネックファンが

夏の必携品として定番になりつつあるのが、ハンディファンことミニ扇風機です。

白いハンディファンを黒いリュックに付け歩く人の背面
リズム『シルキーウインドモバイル3.1』は1回の充電で最大10時間(弱運転時)使える
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「『ハンディ』という名の通り、片手で持てる軽量かつ小型の扇風機です。多くのハンディファンがUSB充電によるバッテリー駆動で、風量を弱に設定すれば最大10時間前後、使用できるものもあります」(田中さん・以下同)

このハンディファンを首掛けにしたタイプが「ネックファン」と呼ばれるもの。

「ヘッドホンを首にかけたようなスタイルで使います。両手がふさがらないので、こちらも人気。同じく首にかけるタイプの中には、頸動脈に当たる場所に、冷蔵庫に使われている冷却システム『ペルチェ素子』を使用した冷却プレートを備え、冷たさが持続できるものもあります」

ウェアラブルクーラーは普段着として着られるデザインも登場

最近増えているのが、「ウェアラブルクーラー」と呼ばれる“着るクーラー”。

山善『水冷服 「DIRECT COOL」』を着た女性
山善『水冷服 「DIRECT COOL」』は冷たい水によって冷やすため、よりひんやりとした体感が得られる
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「代表的なのが空調服と呼ばれるもので、作業服の裾の近くに取り付けられたファンが洋服内に空気を取り込み、汗を気化させることで涼しさを得られます。もともと現場で働く人たちの間で大人気となったものですが、今は普段着としても着られるデザインのものも出てきています。こちらはモバイルバッテリーで稼働するものが多いです。

さらにジャケット内に張り巡らせたチューブに冷たい水を循環させることで体を冷やす『水冷式』のウェアラブルクーラーも増えています。ファンを使わないため、音が気にならない、服は膨らまないという理由で人気があり、最近はリュックに採用したものも出てきています」

購入前に知っておきたい注意点

いずれも魅力的ですが、注意点もあります。

ハンディファンは誤操作防止タイプを

「まずハンディファンについては、電源ボタンは長押しするなど、簡単に電源がはいらないものがおすすめ。私が以前使っていたものは、バッグの中で電源が勝手にはいってしまうことがありました。バッテリーが無駄に消耗されるだけでなく、音が出たり、バッグ内のものが絡まったりする可能性もあります」

猛暑日の使用は熱中症のリスクも

せっかくのハンディファンも、使う日の気温によっては逆効果になることも。

「これはぜひ注意してほしいのですが、体温を超える猛暑日にハンディファンを使用すると、気化熱によって体温を下げる原理が働かず、むしろ温風を体に当てることになり、熱中症のリスクが高まります」

例えば体温が36.5℃の人の場合、37℃の猛暑日に屋外で使うのはご法度。猛暑日は電車内などある程度エアコンが効いた場所で使うようにしましょう。

ハンディファンは落下とゴミ出しに注意!

さらにハンディファンは、モバイルバッテリーを使用しているため、取り扱いには十分注意が必要。

「モバイルバッテリーは落とすと液漏れなどを起こし、使用時に爆発する恐れがあります。また一般ゴミとして捨ててしまったことで、ゴミ収集車やゴミ集積所での発火事故が相次いでいます。廃棄の際は自治体の指示に従い、適切に捨てましょう」

ネッククーラーは長時間の使用で熱さを感じることも

「冷却プレートを採用したネッククーラーは、ペルチェ素子が現在の温度より-15℃前後冷やすことができるため、冷蔵庫で冷やした缶を当てたようなひんやり感が感じられます。この冷却プレートを頸動脈(首の横を通る太い血管)に当てると、冷えた血液が体を流れるため涼しく感じられます。

ただしペルチェ素子にも難点があり、長時間使うと放熱するため冷やすと同時に発熱し、冷たさと同時に熱さも感じてしまいます。熱くなったら使用をやめましょう」

水冷式のウェアラブルクーラーは着用前の準備と重量感を覚悟

山善『水冷服 「DIRECT COOL」』をラックに吊るしている
山善『水冷服 「DIRECT COOL」』はライフジャケットのような見た目ですが、上から服が着られる
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「水冷式のウェアラブルクーラーは、凍らせたペットボトルや保冷剤を用意する必要があるため、事前の準備が必須です。例えば500mlのペットボトルを入れると、その分本体が重くなりがちであることは知っておいたほうがいいと思います」

外出先では、カバンに加え、500ml程度の水を抱えているようなもの。重い荷物を持つと肩こりなどに悩まされる人には、おすすめできないかもしれません。

以上を踏まえ、使いやすいハンディファン、ウェアラブルクーラーを田中さんに挙げてもらいました。

【1】リズム『シルキーウインドモバイル3.1』

リズム『シルキーウインドモバイル3.1』
誤作動防止仕様が搭載されたハンディファン。リズム『シルキーウインドモバイル3.1』2980円(税込)
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まずは、誤作動防止仕様が搭載されたハンディファンから。

ハンズフリーでも使える大風量のハンディファン

白いハンディファンの首を起こした状態
後ろのファンで風を集め、前のファンで筒状の風を送ることで、大風量の風が遠くまで届く
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白いハンディファンを顔に向けあて涼む女性の胸元
リズム『シルキーウインドモバイル3.1』はヘッドを折り曲げて角度を調整すればハンズフリーでも使える
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「独自の2重反転ファンを採用。後ろのファンで風を集め、前のファンで筒状の風を送ることで、大風量の風が遠くまで届きます。風量は弱・中・強・ターボの4段階で、1回の充電で最大10時間(弱運転時)使えます。

誤作動防止のため、電源オンオフは1秒の長押し仕様に。またヘッドを折り曲げて角度を調整すればハンズフリーでも使えます。例えばストラップで首かけする場合、ヘッドを折り曲げて胸元から首の方に風を送ることもできるし、デスクに置いて自分の方にピンポイントに風を送ることもできます」

【2】山善『水冷服 「DIRECT COOL」』

山善『水冷服 「DIRECT COOL」』
約2~3.5時間冷却が持続する“着るクーラー”。山善『水冷服 「DIRECT COOL」』1万4200円(税込)※一般仕様モデル
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次は、ひんやりした体感を得られるウェアラブルクーラー。

約2~3.5時間冷却が持続する“着るクーラー”

山善『水冷服 「DIRECT COOL」』に凍らしたペットボトルを入れている
容量650ml以下の凍ったペットボトルと水150mlをセットすると、ジャケットに張り巡らされたチューブ内を冷たい水が循環
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「容量650ml以下の凍ったペットボトルと水150mlをセットすると、ジャケットに張り巡らされたチューブ内を冷たい水が循環し、体を冷やします。ファン式は汗を乾かすことで涼しさを感じますが、こちらは冷たい水によって冷やすため、よりひんやりとした体感が得られます。

一般仕様とプロ仕様があり、一般仕様の場合は冷却時間は約2時間~最大約3.5時間で、ペットボトルが溶けたら交換すれば、冷却時間を延長できます。ライフジャケットのような見た目ですが、上から服が着られるメリットも」

この夏、屋外での作業や移動が多い人にとっては暑さを和らげてくれる“救世主”になるかもしれません。

◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん

田中真紀子
家電ライターの田中真紀子さん
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白物家電や美容家電を中心に家電に詳しいライター。雑誌やウェブなど多数のメディアで、新製品などをレビューしている。https://makiko-beautifullife.com

取材・文/桜田容子

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