
今や健康ブームで、さまざまな種類のプロテイン製品があり、手軽にてにはいります。しかしこのプロテインなどのたんぱく質、摂りすぎに注意が必要だそうです。そう指摘するのは、著書『食べたいものを食べて一生スリムをキープする食事のすごい黄金バランス』(青春出版社)が話題の管理栄養士・三田智子さん。自身も10kgのダイエットに成功し、15年間リバウンドしていないといいます。
「たんぱく質はいくら摂っても太らない」はウソ
糖質をダイエットの悪、たんぱく質をダイエットの味方として、「たんぱく質はいくらとってもOK」としている人が多いと三田さん。でもそうではないと言います。
「糖質制限ダイエットが注目されて以降、たんぱく質はいくら摂ってもいい、という考えが、女性たちの間にも定着していったように思います。でも、たんぱく質の仕事って筋肉を作ることだけではありません。もちろん、たんぱく質を食べたらすべて筋肉になるわけでもありません。
たんぱく質が体内で筋肉になれる量は、実は決まっているのです。だからそれ以上食べてしまうと、筋肉になれなかったたんぱく質は脂肪としてため込まれます。脂肪にしたくなければ、エネルギーとして燃やすしかありません」(三田さん・以下同)
鶏むね肉やささみ…ヘルシーだからといって「ばっかり食べ」は危険!
コンビニでも手軽に買えるサラダチキンなど、ヘルシーにたんぱく質を摂取したいと、鶏むね肉やささみばかり摂取する人もいますが、「ばっかり食べ」もよくないそうです。

「たんぱく質の1日の摂取推奨量は、50g(18歳以上の女性)です。100gも200gも摂る必要はありません。ただし、肉を50g食べたからといって、たんぱく質も50gとれるわけではありません。肉の場合、重量の約20%がたんぱく質の摂取量になります。となると、50g摂るには250gの肉を摂らなければならない計算。
『そんなに肉ばっかり食べられない!』と思われるかもしれませんが、たんぱく質って、ごはんやパン、野菜、乳製品、果物など、ほとんどの食材にはいっているって知っていましたか? 思っているより摂れている人も多いのです。
たんぱく質には肉、魚、卵、乳製品などの動物性たんぱく質と、豆腐、納豆、野菜、穀類などに含まれる植物性たんぱく質があります。糖質制限を実践する人の中で、鶏むね肉やささみばかり食べているという人もいます。でも偏ったたんぱく質の摂取は、かえってバランスを崩してしまいます。いくらヘルシーでも『ばっかり食べ』は危険が高いもの。たんぱく質もいろいろな食材から摂ることで栄養バランスもよく、リスクの分散にもなるのです」
黄金バランスは動物性:植物性が1:1
たんぱく質の摂り方にもバランスが重要だと三田さんは言います。

「私が導き出したモデル体型ダイエットの“黄金バランス”は『日本人の食事摂取基準(2020年版)』を元に、30種類以上の栄養素の推奨量(推奨量がないものは、目安量または目標量)以上をすべて摂取できるようにプログラムしたもの。その黄金バランスでは、動物性たんぱく質:植物性たんぱく質の理想は1:1。
脂肪(脂肪酸)の面から見ても、1:1は完璧なバランス。動物性たんぱく質は飽和脂肪酸を含むので、摂りすぎると中性脂肪が増えてしまいます。いくらごはんを減らし、たんぱく質を摂る糖質制限をしても、動物性たんぱく質を摂りすぎれば結果的に太ります」
昔ながらの日本人の食事が理想形
今や食も欧米化していますが、昔ながらの日本人の食事はたんぱく質のバランスも理想形だったと三田さんは言います。
「昔から肉や魚、ごはんや野菜を偏らずに食べる日本人は、意識しなくても本当に理想的な1:1のバランスの食事をしていたのです。だから『たんぱく質を摂らなくちゃ!』と頑張らなくても大丈夫。たんぱく質は多すぎず、少なすぎず、他の食品とのバランスもとりつつ、適量を摂取するようにしましょう」
◆教えてくれたのは:管理栄養士・三田智子さん

2010年モデル体型ダイエット塾をオープン。ダイエット研究のために女子栄養大学短大へキャリア入学し、卒業後、栄養士の資格を得て一般社団法人日本栄養バランスダイエット協会を設立。同時にモデル体型ダイエットインストラクター養成講座を開講。さらに、2020年58歳で「管理栄養士国家試験」に合格。著書に『食べたいものを食べて一生スリムをキープする食事のすごい黄金バランス』(青春出版社)がある。https://modeltaikei.com