健康・医療

「更年期のフェムテック」はどう進化しているのか?尿漏れ、頻尿、膣の乾燥などを治療やセルフケアで改善する方法【医師監修】

更年期以降こそセルフプレジャーや性交渉をすることが大切

そして、腟マッサージだけでなく、セルフプレジャー(マスターベーション)や性交渉をしている人のほうが、痛みや自身の健康状態の異常に気づきやすいのだそうです。

「セルフプレジャーやセックスでオーガズムを感じることは、オキシトシンやドーパミンなど幸福ホルモンの分泌を促進し、脳の活性化にもつながります。さらに、骨盤底筋が収縮することで、尿もれなどの諸症状改善にもよいという見解もあるのです」

白衣に紫のカーディガンを羽織った関口由紀さん
更年期以降もセルフプレジャーや性交渉を推奨する関口さん
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毎日ケアをしても改善されないときは医療機関へ

関口さんは、フェムゾーンのケアも顔のケアと同じだと語ります。

「毎日欠かさず、顔の保湿をしますよね。体も同様に、特に30歳を過ぎたら乾燥しやすくなるので保湿するべきなんです。陰部も全身の保湿クリームでかまいませんので、尿道と腟とその中も軽く保湿して、ギュッと締めて上にグッと持ち上げて、毎日セルフチェックをしておくといいです。さらに骨盤底筋群を動かすトレーニングをして、症状が80%程度でも回復したらOKだと思いましょう」

「顔もセルフケアでは足りなくなったら、レーザーなどのエネルギー照射治療やヒアルロン酸注射などにステップアップしますよね。フェムゾーンも同じ考え方でいいんです」と関口さん。まずはセルフケアを実践して、それでも気になる症状が変わらないようだったら、医療技術に頼るのがよいでしょう。

◆教えてくれたのは:一般社団法人日本フェムテック協会代表理事・関口由紀さん

一般社団法人日本フェムテック協会で代表理事をつとめる医師の関口由紀さん(アタリデータ)
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女性医療クリニックLUNAグループ理事長、(株)フェムゾーンラボ社長、女性泌尿器科医師、医学博士、経営学修士、横浜市立大学客員教授、日本泌尿器科学会専門医、日本東洋医学会専門医、日本性機能学会専門医、日本排尿機能学会専門医。2006年に横浜元町女性医療クリニック・LUNAを開業。2022年に女性のためのインターネットサイト「フェムゾーンラボ」を開設し、『女性のからだの不調の治し方』(徳間書店)など著書も多数。www.luna-clinic.jp

撮影/小山志麻 取材・文/イワイユウ

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