ライター歴45年を迎えたオバ記者こと野原広子(66歳)。ここ数年、愛猫や身内の死を相次いで経験。昨年は自身の大病で手術、入院をした。それから意識した“終活”。モノを捨てる「捨て活」を始めたのだが、そんなある日、病院の定期検診で「片づけどころじゃない」事態に――。
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引っ越しでは“捨てる捨てない”がハッキリ見える
18歳で上京して最初に住んだのは文京区。それから板橋区、江戸川区で4か所。千葉県八千代市に移り、再び東京の中野区、渋谷区、文京区に戻って、中央区、千代田区。長く住んだのは中野区で10年、2度目の文京区も15年住んだけれど、それにしてもまぁ、落ち着かないこと。
とはいえ引っ越しは私のような片づけられない女には最強の捨て活で、引っ越しのトラックに横付けされ、引っ越し業者のお兄さんから「えっ? まだ荷造り、半分も終わってねーじゃね!」という視線にさらされると、身体中の毛穴という毛穴が開いて無我夢中。移転先に持っていくものと、捨てるものがまぁ、恐ろしいほどハッキリ、くっきり見えてきて、「そろそろいいですかねぇ」なんて追い立てられるとイヤでも身体が動いちゃう。
「年末までに捨てまくろう」と決意した矢先…
これを捨て活というかというと、かなり微妙だけど、数々の引っ越しをしてきた私はハッキリ自覚しているのよ。「捨てなきゃよかった」なんてものはほとんどないってことを。台所用品だって絞れば半分になる。食器だって洋服だってそう。
でね、問題は今までと同じやり方で次もいけるのかってことなんだよね。追い詰められても年齢的に身体がいうことをきくかというとかなりヤバいと、昨年の“卵巣がんの疑い”で大手術した私は思ったんだよね。それで先日から捨て活を始めたわけ。やることはひとつ。毎日、何かを捨てること。「捨てるものはないか~」とマンションのワンルームの中をゴミ袋を引きずって見渡すと、あるわあるわ。
それで、さあ、年末に向けて馬力だして捨てまくりましょう!と、張り切っていたわけ。先日、昨年の秋に大手術をした病院で定期検診を受けるまでは。