夏場に火を使う調理をすると、コンロ周りの熱や蒸気で暑さが増す。そこで検討したいのが、火を使わずに自動調理できる電気調理鍋・電気圧力鍋(以下、電気調理鍋)の導入だ。ただ、電気調理鍋の一部についている予約調理機能は、調理を始めるまでの間に食材が傷まないかという懸念もある。夏場の電気調理鍋の使用は吉か凶か。家電ライターの田中真紀子さんに教えてもらった。
いまさら聞けない、夏場の電気調理鍋のQ&A
予約調理は腐る?腐らない?
電気調理鍋の中には、朝に食材をセットすれば、夕方の帰宅時間に合わせて調理ができている「予約調理機能」がついているものも多い。この暑い中、鍋に肉や魚などの生モノを入れた状態で、長時間放置しても大丈夫なのだろうか…?
「問題ありません。というのは、電気調理鍋の予約調理は基本的に腐らない工夫がされているから。例えば朝8時に、夕方6時に出来上がるようにセットした場合、すぐに加熱調理を始めます。その後、腐らないとされる温度帯で料理をキープし、6時の完成に合わせて仕上げ調理をします。心配なかたは、予約調理がどう実行されるのか、製品のHPや取扱説明書などで調べてみるとよいでしょう」(田中さん・以下同)
予約調理で腐る心配はないが、食材によっては食感が落ちることも。
「予約調理は加熱時間が長くなるため、魚は水分が抜けてかたくなる場合があります。もしメイン料理に迷ったら、肉料理を選ぶといいかもしれません」
自動調理が終わったら、そのまま放置してもいい?
では、自動調理が完成し、例えば一人分など少量を鍋から取り分けた場合。残りの料理をそのまま鍋に入れた状態で、保温していても問題ないだろうか。
「種類にもよりますが、菌は約20~50℃で繁殖しやすく、特に30℃前後がもっとも繁殖しやすいと言われています。そのため保温時も、60℃以上で保温できるといいでしょう。温度が設定できるものもあれば、決まっているものもありますので、機能を確認してみるといいですね。
ただし、調理後、『電気代がもったいない』などと電源を切ったまま入れっ放しにするのはNG。電源を切ったら徐々に温度が下がり、菌が繁殖するリスクが生じます」
田中さんは、鍋の中の料理を使い切るまで、保温ボタンを切らないことを推奨する。
「個人的には、コンロの上にある鍋は目に留まりますが、電気調理鍋は本体内に入っている鍋が見えないため、たまに入れたまま忘れてしまうことがあります。ですから、私は必ず片付けるまで保温を続けるようにしています」
保温できる時間は、製品によって異なる。長時間保温したい人は、保温時間も必ずチェックしよう。
炊飯器として使う場合、タイマー予約はしないほうがいい?
最近の電気調理鍋は炊飯ができる機種が多い。炊飯器として使う場合、予約調理と違ってすぐに炊飯を始めない「タイマー予約」はおいしく炊けるのだろうか?
「炊飯器がタイマー予約できることを考えても、炊飯でタイマー予約すること自体は問題ありません。ただし長時間浸けすぎると、米が傷んだり水が腐敗したりする可能性もあります。夏場は8時間以内、冬は13時間以内に炊き上がるようにセットしましょう。心配な場合は、早めに炊き上げて保温しておくのも一案です、また、翌朝の予約をしたい場合は、米研ぎした状態で一晩冷蔵庫に保存し、翌朝早炊きをしてもいいでしょう」
夏こそ電気調理鍋を使った方がいい理由
電気調理鍋は、正しく使えば夏場でも食材や料理が傷む心配がないことが分かった。むしろ、夏場こそ使うメリットがあると、田中さんはいう。その理由は?
「電気調理鍋は、材料を切って入れればあとはお任せで調理できるため、火の番をしなくてもよいのがメリットの一つ。例えばカレーを作る場合も、鍋の中をかき混ぜ続けている必要はないので、暑い夏でも汗を流しながら作る必要がありません。そういう意味でも、夏は電気調理鍋を上手に活用するといいですね」
最後に、いまおすすめの電気調理鍋を教えてもらった。どちらも予約調理機能があり、圧力調理が得意な製品だ。