
毎朝、鏡の前で前髪の変化にがっかりし、「年だから仕方がない」と諦めていませんか? 原因はストレスや栄養不足、間違ったケア方法やNG習慣かも。“老け見え”を加速させない改善法を医師や毛髪診断士が教えます。
ヘアケアNG習慣
「前髪スカスカ」を招く頭皮環境の悪化が原因だ。「ケアを間違えると、髪量が減り、“前髪スカスカ”が加速します」と言うのは毛髪診断士の余慶尚美さん。実はあなたも間違っているかも。
女性ホルモン減少で前髪が透け始める
「閉経後、女性ホルモンの分泌が低下するとともに、前髪が透け始める」と言うのは、医師の浜中聡子さん。
「女性ホルモンは発毛を促進する働きがあります。閉経後、分泌量が減少すると極度に髪の伸びが遅くなり、生える量も減少します。
なかでも前髪は後頭部に比べて毛量が少なく、すぐ視界に入るため、薄毛と認識されやすい箇所でもあります」(浜中さん)
さらに「加齢以外にも原因はある」と、毛髪診断士の余慶尚美さんは話す。
「皮脂などの汚れが毛根につまると髪が生えにくくなるので、洗髪でしっかりと汚れを落として」(余慶さん・以下同)
また、血行不良も薄毛を引き起こす原因になる。
「頭皮の血行が悪いと栄養が行き届かず、健康な髪が生えづらくなります」
血行不良は偏った食生活や睡眠不足でも起こるが、スマホの見すぎも一因に。
「スマホを見ていると首まわりの筋肉が凝り固まり、頭皮の血行も悪くなります。少しずつでもスマホ時間を減らして」
血行不良は、過度なストレスにより起こることもあるという。
「ため込まないことがいちばんです。ストレス解消法は人によって異なりますが、推し活などで胸がときめいたり、ワクワクすると血行もよくなりますよ」
【NG】髪を少し濡らしてすぐ、シャンプーをつける
→【改善】約2分、湯洗いしてからシャンプーをつける
頭皮の汚れをしっかり落とすために、シャンプー前の湯洗いは念入りに行う必要がある。「2分程度の湯洗いだけで汚れの7割は落ちます。シャンプーは、五百円玉くらいの量を髪全体につけ、指の腹で頭皮をマッサージするようにして洗いましょう」(余慶さん)
【NG】ブラッシングはスタイリングのみ
→【改善】ブラッシングの習慣をつける
ブラッシングを1日3回程度することで、頭皮の環境が改善され、髪にツヤが出やすくなる。
「ブラッシングにはマッサージ効果があり、血行改善の働きもあるため、髪が生えやすくなります。シャンプー前や朝の身支度時、帰宅後にすれば花粉なども落せるので、習慣にしましょう」(余慶さん)
毛先の絡まりをブラシでとり、その後頭皮に毛先をあて優しく上から下へと流す。

【NG】ドライヤーは前髪からかける
→【改善】ドライヤーは後頭部の内側からかける
「毛量の多い後頭部からドライヤーをかけ、10cm程度離して小刻みに動かす。全体的に乾いたら冷風をあてキューティクルの引き締めを。早く乾かそうと熱風を同じところにあて続けるのは、頭皮に悪影響を与えます」(余慶さん)
ドライヤーは髪の内側からかけると早く乾く。

【NG】髪をゴムで結びっぱなしにしている
→【改善】結ぶならゆるく留める程度に
「髪をゴムできつく結び続けると抜け毛が進行する可能性があります」(浜中さん)
「バレッタでまとめたり、カチューシャなどをつけると頭皮に負担が少なく、前髪の透け感も目立ちにくくなります」(浜中さん)
バレッタやターバンはいくつかあると便利。

【NG】自宅でカラーリング後にしっかりシャンプー
→【改善】頭皮にやさしいカラートリートメントに

余慶さんは、「市販のカラー剤は頭皮への刺激が強く、何度も繰り返すと薄毛の原因になる」と話し、こう続ける。
「頭皮への負担が少ないカラートリートメントを使用するといいでしょう。色持ちをよくするために洗いすぎを防ぐこと。美容院でカラーした後は、2~3日は湯洗いにすると色持ちがよくなります」
50代以降は育毛剤を味方につける
「育毛剤は発毛を促進します。シャンプー後の習慣にするといいですね」と言うのは、余慶さん。

「シャンプー後にタオルドライを行い、ドライヤーの前に育毛剤を頭皮の数か所につけてマッサージを。育毛剤は発毛成分ミノキシジル配合のものなどがおすすめです」(余慶さん)
前髪にボリュームを持たせて“スカスカ”防止
「前髪にボリュームを持たせると、透け感が気にならなくなります」と浜中さんは言う。
「ホットカーラーやブローで前髪をふんわりとさせれば、分け目が目立ちません。ホットカーラーは濡れた髪ではなく、必ず髪が乾いた状態で行いましょう」(浜中さん)

生活全般のNG習慣
50才を過ぎて血行不良に陥ると、髪にまで栄養が行き届かず、薄毛も進んで前髪スカスカがさらに目立つようになる。すぐにでも正しい生活習慣を身につけ、健康な髪を取り戻す生活にチェンジしよう。
【NG】スマホを片手にゴロゴロしている
→【改善】毎日、家でストレッチを行う
スマホの見すぎは眼精疲労の原因になり、運動不足は血行不良を起こす。
「毎日10分程度歩いたり、肩まわりをほぐすストレッチを行うなど血行不良を改善し、頭皮に栄養を届けましょう」(浜中さん・以下同)
【NG】毎日シャワーだけで済ませる
→【改善】週末だけでも湯船につかる
血行促進のためにもシャワーだけでなく、湯船につかるのがベスト。
「40℃以下のぬるめのお湯に10分程度つかるといいですね。毎日が難しい場合は、せめて週末だけでも湯船につかる習慣をつけましょう」
【NG】寝るのはいつも深夜1~2時
→【改善】日付が変わる前に就寝する
睡眠不足は血行不良を起こし、頭皮に栄養が行き届かず、髪にも悪影響を与えることに。
「髪を生やすためには、成長ホルモンが分泌される22時までに就寝を。22時が難しい場合でも、日付が変わる前に就寝しましょう」
【NG】日焼け防止に晴雨兼用の傘を使う
→【改善】日焼け対策にはWでUVカットを
紫外線は、頭皮にダメージを与え、抜け毛の原因になる。これからのシーズンには注意が必要だ。
「日差しが強い季節に日傘をさす人が多いですが、UVカット加工がされていないと紫外線カット効果が弱くなります。晴雨兼用タイプは加工も弱く、2年ほどで効果が薄くなるものが多いので、長く使っている人は買い替えるか、髪用のUVカットスプレーを使って紫外線を防いで。
帽子は汗で蒸れやすく、雑菌の温床になるため頭皮によい環境とはいえません。被りっぱなしは避けて」(余慶さん)
UVカットスプレーは分け目や毛先にもしっかりつけること。

【NG】昼食は菓子パンやカップ麺で済ませる
→【改善】たんぱく質を中心にバランスよく食べる
脂質や糖質多めの食事は、皮脂の過剰分泌を招き、発毛の妨げや抜け毛の原因に。
「髪の主成分はたんぱく質。一日の中で、肉や魚、大豆製品などをバランスよく食べましょう。ミネラルやビタミン、亜鉛も髪のために必要な成分なので、野菜や海藻類で補いましょう」(浜中さん)
髪のためにも大豆製品、野菜、肉、魚、乳製品、貝類、レバー、海藻類などをバランスよく食べよう。

どうしても“薄毛”が気になるなら専門医に相談
医療機関を受診し、早めに治療をすれば薄毛の悪化を防ぐことができる。
「髪の毛専門のクリニックで適切な治療を受けましょう。女性専用のクリニックでは更年期などで薄毛を招いているケースにも対応しています。治療では、塗り薬などの外用薬や内服薬の処方、点滴や注射による薬物投与、ホルモン治療などを行います。
私のクリニックで治療を受けたかたで、外用薬と内服薬の治療を半年間行った約8割に効果がありました。薄毛治療は保険適用外で、1か月の治療費は1万5000~3万円程度です。なかには高額な治療やローンを行う病院もあるので、受診前にホームページなどで事前に確認を」(浜中さん)
◆教えてくれたのは:毛髪診断士・余慶尚美さん
漢方美容などを取り入れた美髪メソッドを基にテレビや雑誌などで美容家としても活躍。著書に『髪トレ』(主婦の友社)がある。
◆教えてくれたのは:医師・浜中聡子さん
クレアージュ総院長。薄毛、白髪、抜け毛など女性の髪に関する治療を行う。著書に『50代からの髪がみるみるよみがえる! 美髪ケア大全』(主婦の友社)ほか。
取材・文/廉屋友美乃
※女性セブン2025年4月24日号