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《芸人の仕事は嫉妬の世界》カラテカ入江「経営者として成功中」の今だから明かした「芸人への未練」

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芸能界だけでなく、あらゆるジャンルの交友を持っていた人気芸人が味わったどん底──。2019年6月の「闇営業」問題後、所属事務所を契約解除されたカラテカ・入江慎也(48才)が、清掃会社を立ち上げ、再起できた仰天の過程を振り返る。(前後編の後編)

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全国34のフランチャイズを束ねる清掃会社「株式会社ピカピカ」の社長となった入江慎也は控えめに話す。

「今の仕事を始めてからは、責任感が違いますね。社員が12人いて、フランチャイズに参加してくださるお店がある。僕がまた何かやらかしたら、彼らの生活にダイレクトに影響を与えてしまう。何かを話すときも、主語が『自分は』から『会社は』になりました。

会社はある程度大きくなりましたが、まだ成功したとは言えません。お金の面でもそうなんです。会社の売り上げとしてはある程度ありますが、個人の収入としては芸人時代のほうが多かった。まだそれを超えられていないんです」

誰にも見せられない大学ノートの「中身」

『闇営業』騒動という大きな壁にぶちあたり、試行錯誤の末になんとか再起を果たした入江だが、それらを『絶望の淵で得た、人生を諦めないための教訓』(三才ブックス刊)としてまとめ、今年2月に出版。そこに記された教訓の数は62に及ぶ。

「この本は騒動直後から着想し、書き続けていたのですが、会社をやるようになって考え方も変わり、何度も書き直した結果、5年もかかってしまいました。

僕がどんなふうに変わったか、ですか。かつては『自分がいかに輝くか』ばかり考えていましたが、いまは『周囲の人をいかに輝かせ、幸せにするか』を考えるようになりました。それがいちばん大きな変化かもしれませんね」

新著の下敷きとなったのが、日記の存在だ。入江は2008年から一日も欠かすことなく日記をつけているのだという。

「大学ノートに、今も毎日書き続けています。その日に自分が何をやったのか、どう感じたのかを忘れるのがいやだなと思って始めたんです。心情も含めて、やっぱり記録しておきたいなと。振り返って読むと、この頃は芸人の仕事がなくてアルバイトしていたな、とか懐かしく振り返ることのできるものがあれば、悔しくて眠れなかった夜のことも書いてあります。反省すべき点を書いている日もある。例の騒動で週刊誌から連絡があったころのことも克明に書いてありますよ。もちろん、契約解除の日も書いた。やっぱり日記を読み返すと、当時の心境が思い返されます」

著書に綴られた教訓は、かなり独特だ。たとえば「教訓01」に挙げられているものも、そのひとつだろう。

「厳しい批判にさらされて耳を塞ぎたくなったとき」は、しばらくそれらに触れないよう避けたくなるが、入江の教訓では、こう説く。

《すべての言葉に耳を傾けなくちゃ。都合のいい言葉だけを受け入れていたら、また同じ過ちを繰り返すことにならない? どんな罵声もいつか糧になる。ありがたく受け入れよう》

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