
朝鮮半島の軍事境界線を舞台に、自由を夢見て脱北を図ろうとする軍曹と、それを阻止しようとするエリート軍人との攻防をスリリングに描き、韓国で256万人を動員した大ヒット映画『脱走』。強靭な精神力で、体力の限界まで命がけで走り続ける軍曹・ギュナムを演じるのは、『シグナル』『復讐代行人~模範タクシー~』で知られるイ・ジェフンさん。その目の前に立ちはだかる幼なじみの軍少佐・ヒョンサンを狂気的に演じたのは、『D.P. -脱走兵追跡官-』で存在感を放ったク・ギョファンさん。二人の名演技と迫力あるアクションの連続で、一瞬も見逃せないスリリングな映画に!
「何のためらいもなくオファーを受けました」
――日本公開に先立ち行われた舞台挨拶やスペシャルイベントが大盛況だったそうですね。その感想から聞かせてください。
ク・ギョファン(以下、ギョファン):(日本でのイベント参加は初めてで)とても緊張しました。それは決して居心地の悪いものではなく、好きな人と初めてデートする時のワクワクからくる感覚で、正直、どんな時間だったのか思い出せないくらいときめいていました。
イ・ジェフン(以下、ジェフン):僕は日本に来るといろんなところを歩いて回り、映画館の前を通ると必ず入口に置かれているチラシを一つひとつ手に取り、どんな映画が上映されているのか見るんです。いつか日本の映画館で僕の作品が上映される日を想像していたので、映画館に『脱走』のポスターが貼られ、チラシやパンフレットもできて感謝の気持ちがいっぱいです。客席をいっぱいにしてくださった観客のみなさんを見た時は、にわかには信じられず、こんな幸せな日が毎日続いてくれたら……と思いました。
――演技力も人気も兼ね備えたお二人。オファーが殺到しているであろう中、この作品を選んだ決め手は?
ジェフン:シナリオそのものと、見た人に伝えようとしているメッセージが明確でした。映像が目に浮かぶようで、自分の人生を投影しながら、ギュナムを応援したくなったんです。この作品を映画館で没頭して観たら、人々の記憶に長く残る作品になるだろうと。そんな素晴らしいストーリーを、ずっとご一緒したかったイ・ジョンピル監督と実現させたいと思い、何のためらいもなくオファーを受けました。
ギョファン:2021年の青龍映画賞で、ジェフンさんが僕のことを(「ク・ギョファンさんのような演技をしたい」と)言及してくれて、「時間がかかったとしても、いつか作品でご一緒できるだろう」と確信を持ったんです。嘘のような話なのですが、その2日後に、共演映画の話が来て! 僕はジェフンさんのファンでしたし、断る理由は一切ありませんでした。これは絶対に参加したいなと。
ジェフン:(照れながら)ありがとうございます。