健康・医療

《インフルエンザにも負けない体に》免疫年齢の老化を防ぐ「食品」「メニュー」朝食・昼食・夕食ごとに“免疫力アップの理想メニュー”を紹介

朝食
健康と食の専門家に免疫年齢が若返る「最強の食品」と朝昼晩に食べる「究極のメニュー」とは?(写真/PIXTA)
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冬は体温が下がることで免疫細胞の働きが低下し、免疫力が下がるといわれる。では、その免疫力に“年齢”があるのをご存じだろうか。知らずに過ごしていると、実年齢より老けているかも。健康と食の専門家に免疫年齢が若返る「最強の食品」と朝昼晩に食べる「究極のメニュー」を聞いた。

免疫年齢を若返らせる食事はビタミンDと亜鉛

「体調を崩しやすくなった」「かぜをひくと長引くようになった」――そんな変化の原因は“免疫の老化”かもしれない。そもそも免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」がある。おおつか医院院長の大塚亮さんが説明する。

「自然免疫は、病原体から体を守るために生まれつき持っている防衛システム。一方、獲得免疫とは、一度感染した病原体の情報を『抗体』として記憶することで、次に感染したときに効果的に病原体と戦えるシステムです。高齢になっても自然免疫はあまり低下しませんが、獲得免疫は20代をピークに低下していきます。その理由は獲得免疫の中心的役割を担うT細胞を成熟させる胸腺が、次第に萎縮していくからです」

しかし、免疫機能の老化具合を示す“免疫年齢”は、人によって異なる。それはいったいなぜか。

手を伸ばす女性
免疫機能の老化具合を示す“免疫年齢”は、人によって異なる(写真/PIXTA)
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「免疫の老化にいちばん影響するのは、毎日の食生活です。腸には全身の免疫細胞の約7割が集中していて、食べ物と一緒に侵入してきた病原体を識別し、排除している。この免疫システムは腸内環境が整っていると活性化されます。つまり、どんな食生活をしているかによって免疫に与える影響が変わるのです」(大塚さん・以下同)

では免疫年齢を若返らせる食事とは、どのようなものなのか。

「まず摂ってほしい栄養素は『ビタミンD』。免疫細胞の機能を維持するのに欠かせませんが、日本人の98%は不足しています」

続いて大塚さんが挙げるのは「亜鉛」。

赤身肉
赤身肉は亜鉛が豊富(写真/PIXTA)
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「異物の侵入を防ぐ粘膜免疫の細胞を作るにはアミノ酸やオメガ3系脂肪酸のDHAやEPA、亜鉛などのミネラルが必要になる。なかでも日本人に不足しがちな亜鉛を意識して摂るといいでしょう。亜鉛が豊富なのはかきですが、手軽に摂りやすいのは赤身肉や卵、ナッツ類でしょう」

【朝食】忙しくても必ず卵は食べる

免疫力をアップする食品はいろいろあるが、せっかく食べるならより効果的に食べたい。そこで専門家におすすめメニューを聞いた。

朝食なら何をどう食べればより効果的なのか。管理栄養士の望月理恵子さんがアドバイスする。

「朝はたんぱく質と炭水化物で体内時計をリセットして、温かいもので体温を高めるのがいい。体内時計を整えると、免疫細胞が効率よく働きやすくなります」

パン派に最適のメニューは、「パン+ツナサラダ+トマトスープ+フルーツヨーグルト」だ。

「食物繊維が多いライ麦パンや、脂質が少なく咀嚼回数が増えるフランスパンを選ぶと血糖値の急激な上昇を招きにくい。血糖値が高くなると免疫細胞の『好中球』など白血球の働きが悪くなり、細菌やウイルスを攻撃する力が弱くなります。

ツナはたんぱく質だけでなく、免疫バランスを整えるDHAやEPAが豊富。トマトのリコピンは朝の時間帯は吸収率が高く、活性酸素を除去して免疫力を高めます」(望月さん・以下同)

ヨーグルトには旬の果物を加えるといいという。

「ヨーグルトの乳酸菌と果物の食物繊維を組み合わせることによって、腸内環境が整いやすくなります。果物のビタミンCは抗酸化作用があり、ストレスによる細胞へのダメージを緩和して免疫力をアップします」

ご飯派なら、「ご飯+納豆+卵焼き+豆腐とわかめのみそ汁+みかん」が理想。

納豆
発酵食品の納豆やみそ汁で腸内環境を整える(写真/PIXTA)
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「発酵食品の納豆やみそ汁で腸内環境を整えるといい。豆腐や卵焼きはたんぱく質がたっぷりで消化にもいいので胃腸に負担をかけにくい。みかんはビタミンCだけでなく、免疫バランスを整えるカロテノイドの一種『β-クリプトキサンチン』が含まれています」

大塚さんは「忙しい朝でも卵は食べて」と話す。

卵
忙しい朝でも卵は食べて(写真/PIXTA)
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「免疫細胞を作るにはアミノ酸が欠かせず、卵は必須アミノ酸のバランスに優れた良質なたんぱく質です。亜鉛もビタミンAも多い。パンにゆで卵を足したり、ご飯に生卵をかけるなど朝食に加えてください」

【昼食】コンビニなら総菜で一品追加

家事や仕事の合間で、つい疎かになりがちな昼食は、何に気をつければいいのか。望月さんが言う。

「エネルギー消費が活発になる時間帯なので、少しくらい多めに食べても問題ありません。健康な免疫システムを維持するために不可欠な『ビタミンB12』は、お昼の時間帯に吸収率が高くなる。レバーや魚介類、卵などに多いので、積極的に取り入れてください」

望月さんが推奨するのは、「海鮮丼+貝のすまし汁」の組み合わせだ。

海鮮丼
魚介類や卵を中心とした和食献立は、ビタミンB₁₂に加えてビタミンDも摂れる(写真/PIXTA)
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「魚介類や卵を中心とした和食献立は、ビタミンB₁₂に加えてビタミンDも摂れる。まぐろや青魚にはDHAやEPAも豊富なので、刺し身定食もいい。中華なら、鉄分やビタミンB群がしっかり摂れるレバニラ定食もいいでしょう」

麺類なら「海鮮タンメン+バンバンジー」を選ぼう。

「麺類は炭水化物に偏りがちなので野菜やお肉、魚介類がたっぷり入ったメニューがいい。鶏肉に含まれる『イミダゾールジペプチド』は疲労回復、免疫力アップをサポートします。海鮮焼きそばやボンゴレパスタもおすすめ」(望月さん)

コンビニですませる場合、一品料理にしないこと。

「うどんやおにぎり単品でなく、チキンサラダやお総菜などを組み合わせて食物繊維やたんぱく質も摂ってほしい」(大塚さん)

【夕食】脂質が多いと胃腸に負担

一日の最後、夕食の献立には多少塩分が多くても問題ないと望月さんは言う。

「夜は腎臓の動きが活発になって塩分が排出されやすいので、塩分を気にしすぎなくても大丈夫です。ただし夜は血糖値が上がりやすいので、炭水化物は控えめにしてください。睡眠の質を上げるために、低脂質・高たんぱく質を意識するのがポイントです」

具体的に免疫力を上げる献立は、「ご飯+鮭の塩焼き+卵豆腐+ぬか漬け」だ。

鮭
鮭にはビタミンDだけでなく、睡眠の質を高める『トリプトファン』が豊富(写真/PIXTA)
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「鮭にはビタミンDだけでなく、睡眠の質を高める『トリプトファン』が豊富です。発酵食品のぬか漬けに、良質なたんぱく質で消化のよい卵豆腐を加えると適度な満腹感を得ることができる。脂質が多い食事は胃腸に負担がかかり、睡眠の質が低下するので夜は控えてください」(望月さん)

豆腐
豆腐は良質なたんぱく質がとれ消化がよい(写真/PIXTA)
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大塚さんが続ける。

「外食するなら、栄養バランスが整いやすい焼き鳥がいい。鶏肉にはアミノ酸が豊富で、レバーには鉄や亜鉛が多く、串野菜で食物繊維も摂れる。豚肉には免疫機能の維持に欠かせないビタミンB群が多い。しょうがなどの薬味はファイトケミカルで抗酸化物質が多いので、しょうが焼きにして食べるといいでしょう」

鍋
寒くなる時期は、毎日鍋でもOK(写真/PIXTA)
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寒くなる時期は、毎日鍋でもいい。

「きのこ類や野菜、魚、肉などいろいろな食品を入れるので、たんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維などをまんべんなく摂れる。ビタミンCなど水溶性の栄養はスープに溶けやすいが、ビタミンAやDのように免疫力アップに必要な栄養素は溶けにくいので安心です」(大塚さん)

望月さんは「キムチの乳酸菌とカプサイシンが免疫力を整えるので、キムチ鍋がおすすめ」と話す。

私たちの体は食べたものでできている。早速今日の食事から見直してみよう。

免疫年齢を若返らせるために食べたい「最強の食品」
免疫年齢を若返らせるために食べたい「最強の食品」(写真/PIXTA)
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免疫力をアップする朝昼晩の「究極のメニュー」
免疫力をアップする朝昼晩の「究極のメニュー」(写真/PIXTA)
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※女性セブン2025年12月18日号