江戸庶民の栄養源として愛され続けてきたうなぎは、現代人にとっても栄養満点のスーパーフード。庶民に愛され続け、いまも東京はうなぎの激戦区だ。老舗から気鋭の名店まで、お店選びは難しい…。そこで、4000食以上のうなぎを食べ歩く、うなぎ愛好家の高城久さんが、厳選する関東と関西の名店を教えてくれた。

Q. 関東風と関西風の境界線はどこ?
「長野県の諏訪湖から静岡県の浜名湖を結ぶライン、“天竜川”付近が境界線といわれており、天竜川から東が関東風、西が関西風に。うなぎの名産地の浜松市は、東西両方の店が混在することでも有名です」
Q. 関東と関西の焼きの違いって?
「関東は“武士の切腹”を避けて背開きに、関西は“腹を割って話す”ことから腹開きになったといわれています。関東風は竹串を打ち、素焼きをしてから蒸して脂を落とし、たれをつけてふっくら焼き上げます。関西風は熱伝導の良い金串を打ち、蒸さずに香ばしく豪快に焼きます」
Q. 養殖うなぎっておいしいの?
「昔は東京でも獲れたうなぎですが、今や天然ものは希少に。天然は川魚特有の風味があるうえ、さばくまで脂や質がわからない。それに比べ、養殖うなぎは品質が安定しており、最近はブランドうなぎが好調です。冷凍技術も進化して、お取り寄せのレベルも上がっています」
【関東風】
五代目 野田岩 麻布飯倉本店
抜かりない手仕事で江戸の味を守り続ける
寛政年間に創業し、5代目の金本兼次郎さんは98才の今も現役で『ミシュランガイド2026』のメンターシェフアワードを受賞。戦時中、「防空壕に持って逃げた」というたれは今も継ぎ足され、その味と匠の技を現代に伝える。丁寧な仕事を感じる繊細で芸術品のような蒲焼は、一度食べたら忘れられない。



住所:東京都港区東麻︎布1–5–4
※店では別途奉仕料10%がかかります。土用の丑の日は休業日です。
鰻割烹 伊豆榮 (いずえい)本店
約300年の結晶。キリッとした味はこれぞ江戸前

江戸中期1730年代に上野で創業して約300年、森鴎外や谷崎潤一郎も舌鼓を打った老舗と名高い。昔は不忍池付近で天然うなぎが獲れたが、現在は天然に近い風味とコクが特徴の『三河鰻咲』を厳選。秘伝のたれは砂糖を一切使用せず、しょうゆとみりんでキリッと仕上げる。



住所:東京都台東区上野2–12–22