ダイエット中なのに、好きな食べ物を食べてもOK? そんな夢のような方法があるのなら知りたい!
ダイエットを考えるとき、「太らないためのメソッド」と「痩せるためのメソッド」には違いがある、と言うのは、ダイエット外来のノウハウをまとめた書籍『好きなものを食べながら健康的にやせる 帳消しダイエット』(日本実業出版社)の著者で、ハーバード大学医学部准教授、そして麻布医院院長の高(正しくは、はしごだか)橋弘さん。まず、その違いを理解することが大事だという高橋さんに、それぞれのメソッドについて聞いた。
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まず、なぜ人は太るのでしょうか。原因は2つ、「カロリー」の過剰摂取と「運動不足」です。摂取するカロリーが、消費するそれらより多ければ太るのは当たり前。よく「太って肉が付いた」と言いますが、その肉とは何でしょうか? 当然、筋肉ではなく、「内臓脂肪」や「皮下脂肪」といった「体脂肪」です。そして、その「体脂肪」の実体は何かといえば、「中性脂肪」なのです。従って、「太らないためのメソッド」は体の脂肪組織に中性脂肪を溜めない方法、「痩せるためのメソッド」は体の脂肪組織の中性脂肪を燃焼させる方法ということになります。
好きなものを食べても太らないためのポイント3つ
太らないためのメソッドの第一は「食べる順番」。野菜を最初に食べる「ベジファースト」は重要です。ベジファーストにすると、糖質のGI値が下がる、脂肪の吸収が抑えられるなどのメリットがあります。
しかし、さらに効果的なのは「スープファースト」です。最初に野菜スープ、ポタージュ、みそ汁、なければコーヒーや緑茶でもいいので、温かい液体を飲むと「食事誘発性熱産生(DIT)」(後述)が誘導されて代謝が上がります。ホットミルクでもOKです。また、野菜、緑茶、紅茶にはカロリーを燃やす、燃焼系ファイトケミカルやビタミンも含まれています。まずはスープから。次に野菜、たんぱく質、最後に糖質といった順番で食べてください。非常にシンプルですが、これが太らないための大原則。どんなメニューでもこの通り食べれば効果が期待できます。また、シンプルなので続けやすいのも利点です。
食事によって消費されるエネルギーを「食事誘発性熱産生(DIT)」と呼びます。摂取した食品は、脂質では4%、糖質では6%、たんぱく質では30%が食後に熱に変わり消費されます。そして、同じ食品を固形と液体状にして摂取して比べると液体状で摂取したときのDITがより多いことがわかりました。これは、液体状の方が小腸まで早く届いて吸収されるので、より多くのエネルギーが肝臓で消費されて、DITが増えるのです。例えば、ミルクを飲んだあと、赤ちゃんの体がポカポカ暖かくなるのはDITが誘導されているからです。
次に「食品のGI値を意識して、低GI値(血糖値の上がりにくい)のものを食べる」こと。高GI値の糖質を食べると、血糖値が上がり、肥満ホルモンであるインスリンが分泌されて、過剰な血糖が中性脂肪に変換されるため、太りやすくなります。量を気にせず食べられる優秀な低GI食品は、野菜、きのこ、海藻類など。また、「甘くない糖質であるでんぷん」も消化されて糖になります。従って、でんぷんを摂るときには、白米よりも食物繊維を含む玄米を、食パンやフランスパンよりも全粒粉パン、ライ麦パンなど、茶色っぽい穀物など、よりGI値の低い食品を選ぶのがポイントです。
そして、最後に、「量が少なくてカロリーの高い食べものに注意する」ことと「燃焼系のビタミンと燃焼系のファイトケミカルを含んだ食品を積極的に摂る」こと。食品のカロリーはそれぞれ、脂質は1gで9kcal、糖質は1gで4kcal、タンパク質は1gで4kcalです。牛肉は低カロリーでも、ステーキの脂身を食べると高カロリー食になります。また、揚げ物は小麦粉やパン粉の衣が多くて、油がしみ込んでいるものは要注意。例えば、から揚げは1個あたり80〜100kcalもあり、5個でご飯2杯分に相当します。低カロリーでヘルシーな野菜や魚でも揚げ物には注意が必要。好きなものを食べても、油のしみ込んだ揚げ物の衣やステーキの脂身などは捨てるのがオススメです。
また、好きなものを食べるときは「燃焼系のビタミンと燃焼系のファイトケミカルを含んだ食品を積極的に摂る」ことも肥満の予防になります。燃焼系のビタミンは糖質、脂質の代謝を助けるビタミンB1、B2、B6、ナイアシンなどで、海苔や唐辛子、まいたけなどに多く含まれています。燃焼系のファイトケミカルはトマト、にんにく、ねぎ、玉ねぎ、らっきょう、しょうがなどの野菜、緑茶、ウーロン茶、紅茶、コーヒーなどの飲料、唐辛子、からし、マスタード、こしょうなどの香辛料に含まれています。好きなものを食べたいときは、これらを追加することでカロリーを帳消しにしましょう。