気づかないうちに感じているストレス。あなたの抱えている不調は、もしかしたらストレスが原因かもしれません。
ストレスによる不調の原因にも人それぞれタイプがあり、薬剤師の道川佳苗さんによると、ストレスによってどんな症状が出るかというタイプによって処方する漢方薬も異なるそうです。そこで、自分に合う漢方薬を知るためのセルフチェック方法を教えてもらいました。
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その不調の原因は実はストレスかも…!
ストレスによって心身に起こる不調は大きく分けて、身体的症状、精神的症状、行動的症状に分類されます。
◆身体的症状
体のかゆみ、じんましんなどの皮膚症状、頭痛やめまいなどの神経症状、吐き気、胃のむかつきや胃の痛みなどの胃腸症状、動悸や息切れなどの心血管系の症状などが出ることを身体的症状といいます。
◆精神的症状
精神的症状では、イライラする、怒りっぽい、神経が過敏になりヒステリーを起こすなどの興奮性の変化や、逆に、落ち込む、憂鬱になる、気力がないなどの鬱のようになったり、焦りなどの焦燥感を感じるたりすることがあります。
◆行動的症状
ストレスにより自律神経の乱れが起こると、注意力の低下、集中力の低下などが引き起こされます。また、そのことによりケアレスミスや物忘れが多くなることもあります。これが行動的症状です。
ストレスは十人十色。自分のストレスタイプはどれ?
寝過ぎ、やけ食い、お酒の飲み過ぎなど、あなたがストレス解消のために行っていた行動は、正しい対処法とはいえません。ストレスには、タイプに応じた正しい対処を行うことが大切です。
そのためにまず、ストレスが体にどんな不調を引き起こすタイプなのかを知ることから始めましょう。以下に紹介するチェックリストで、漢方の考え方によるタイプ(体質)を診断してみましょう。
◆気の異常タイプ
漢方で「気」とは、体内を巡るエネルギーのことを指し、この気の巡りが全身に伸びやかに巡っている状態を健康と考えます。ストレスにより気の巡りに異常が生じることで、以下のような不調が現れます。
・気分が落ち込む
・ため息が多い
・のどに異物が詰まったような閉塞感がある
・不安になることが多い
・不安で夜眠れない
こちらの症状に多く当てはまった人は、「気の異常タイプ」です。
◆肝の異常タイプ
漢方で「肝」とは自律神経を司るところです。ストレスが多くかかることで、肝の高ぶりが起こり以下のような不調が現れます。
・イライラする
・怒りっぽく、興奮しやすい
・神経過敏で細かいことが気になる
・落ち着きがなく動き回る
・イライラして眠れない
こちらの症状に多く当てはまった人は、「肝の異常タイプ」です。
◆心の異常タイプ
漢方で「心(しん)」とは血を循環させ、意識を正常に保つ働きをします。ストレスにより、心の働きに異常をきたすと以下のような不調が現れます。
・動悸や息切れが起こる
・不安になることが多い
・集中力の低下が気になる
・のぼせや顔面が赤くほてる
・皮膚のかゆみがある
こちらの症状に多く当てはまったあなたは、「心の異常タイプ」です。
ストレスの症状から開放してくれる漢方
◆気の異常タイプにおすすめの漢方薬「半夏厚朴湯」
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は、気分がふさいで、のどに異物が詰まった違和感があるかたや、不眠の症状がある人に用いられます。その他にも、精神的な不安による胃腸の不調にも用いられます。
◆肝の異常タイプにおすすめの漢方薬「抑肝散」
抑肝散(よくかんさん)は、イライラしやすく怒りっぽい、また、興奮しやすいため眠れない人に用いられます。
◆心の異常タイプにおすすめの漢方薬「黄連解毒湯」
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)は、のぼせ気味で顔色が赤い傾向のある人の不眠症や、動悸、皮膚のかゆみなどに用いられます。