
夏から秋にかけて旬を迎えるいちじく。上品な甘みがあるいちじくは、そのまま食べるのはもちろんジャムやコンポートなどにしてもおいしいフルーツです。そこで、野菜ソムリエプロの福島玲子さんにおいしいいちじくの見分け方や正しい保存の仕方を教えてもらいました。
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いちじくの種類や熟しているものの見分け方
いちじくはふっくらと丸みのある形で果皮にハリと弾力があり、傷がないものがよいといわれています。切り口がみずみずしく、乾燥していないことが新鮮な証です。さらに、全体的にえんじ色がかっていて、切り口の方まで色がついているものが、太陽の光をしっかり浴びて育ったおいしい実といえます。

お尻を見て完熟しているかチェック
熟したものを食べたいときは、特によく見るべきポイントは、お尻の部分。いちじくは完熟するとお尻の部分(果頂部)が割れるのが特徴です。お尻が十字に割れているものが完熟の目印です。
ただし、実があふれそうなほど割れているものは熟しすぎです。すぐに食べるときに買うのがおすすめです。過熟で傷んでいることもあるので、注意して召し上がってください。

また、「とよみつひめ」は唯一お尻の部分が割れない品種なので、果皮の色味をチェックしましょう。
いちじくには「夏果」と「秋果」がある
いちじくは年に2回収穫できる果物です。夏(6~8月)に収穫する「夏果」と秋(8~10月)に収穫する「秋果」があります。
国内で流通しているいちじくのほとんどを占める「桝井(ますい)ドーフィン」は夏と秋の2回収穫できる、夏秋兼用種というものです。前年の秋からゆっくりと成長する夏果のほうが、大きめになるといわれています。
足がはやいいちじくは野菜室で保存するか加工を
いちじくは基本的に傷みやすいので、早めに食べ切りましょう。熟している、お尻が割れているものを優先的に召し上がっていただいたほうがいいと思います。
それでも保存したいときのために、なるべく傷みづらい保存の仕方を紹介します。また、食べるときのアドバイスもぜひ実践してみてください。
食べきれないときの保存法や加工のアイディア
一度に食べ切れない場合は、乾燥に弱いのでキッチンペーパーや新聞紙などで包んでから、ビニール袋に入れて野菜室で保存し、かためのものでも2~3日以内食べるのがおすすめです。

傷む前に食べきれなさそうなときは、ジャムやコンポート、ジュースなどに加工するとよいかと思います。冷凍する場合は、皮を剥いてカットしてからのほうが使いやすいです。冷凍したいちじくはスムージーにしたり、ヨーグルトに入れたりするとおいしくいただけます。
いちじくの“美しい”皮の剥き方
割れているお尻から皮を剥いたほうがいいと思うかたもいるかもしれませんが、いちじくは軸から剥くほうが簡単できれいに剥けます。実がふくらみ始める部分の上を折って、ゆっくりとお尻側に引っ張ります。残った皮は包丁で剥くといいですよ。甘い実を余すことなく食べることができます。

また、水で表面の汚れを落とせば、皮を剥かずにそのまま食べることもできます。 完熟したいちじくは皮もやわらかいので、そのまま食べるのに適しています。水に触れると傷みやすいので、食べる直前に洗うようにしましょう。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん

ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ