最後まで残る執着はお金?
かと思えば「貴金属の形見分け? それって姉妹がまだ身を飾る元気があるうちの話よ」と言う人もいる。最近、101歳で母親が亡くなったA子さん(72歳)だ。A子さんの姉は80歳の長女と77歳の次女。
「姉たちも60代のときは母親のサファイヤやルビーの指輪を定期的に借りにきていたけれどそれも70代前半まで。そのうち会ってもどこの病院がいいとか、誰が亡くなったとか、そういう話しかしなくなったわよ」。そういってA子さんは指いっぱいの大きさのサファイヤの指輪を私に見せてくれた。そして「姉や母を見ていると最後まで残る執着はお金だけよ」ですって。
そういえば私も母ちゃんから形見をもらったっけ。「売んじゃねえど」と言って投げてよこした18金の指輪で母ちゃんは中指にしていたけど大柄な私は小指にしか入らない。ふんっ、売ったところで3、4万円にしかなんねえし、これ、何の絵柄だよと、その時は毒づいたけどね。母亡きあとは、緊張する仕事のときにお守り代わりにつけるとスッと気持ちが落ちつくから不思議よ。
◆ライター・オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。
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