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名曲『セシル』、忍者設定のスケバン刑事…浅香唯の「破壊力ある」魅力を改めて考察

名曲『セシル』が歌い上げる「季節の変わり目のせつなさ」

『C-Girl』も名曲だが、私が推したいのは『セシル』である。今年、太陽からの殺意を感じた猛暑。もう一生夏ではないかとうんざりしたが、いやはや、秋はやってくるものだ……。そんなホッとする季節の変わり目に漂うせつなさ。この曲はそれとめっぽう相性がいいのだ。

2023年はデビュー38周年を迎えた(写真は1988年、Ph/SHOGAKUKAN)
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途中で入るクラップ。センチメンタルだけど明るい、絶妙なバランスの浅香唯さんの歌唱。そしてサビの歌詞! ぜひ皆さんハンカチ持参で聴いていただきたい。秋の夜長、寂しくなったとき、「私が、あなたのそばにいれたらいいのに」と囁いてもらえているようで、泣く。

この曲の支持層はとても広い。というのも、私個人調べではあるが、カラオケで中年男性が歌っているシーンを一度や二度ではなく、数度目撃しているからである。

しかもそのうちの一人は、沢田研二の『時の過ぎゆくままに』や、近藤真彦の『愚か者』という激シブな曲を歌った後、締めにこの曲を持ってきていた。そして目を潤ませながら「名曲だよね」と呟いた。ううむ、『セシル』という曲には、様々な苦労や経験をしてきた人に響く何かがある!

今もWarner Music JapanのYouTube公式チャンネルで動画を見ることができる。私も観て、そして改めて、この曲に目を潤ませた人の気持ちがよくわかった。

「大人になるたび弱くなる」——。「強くなれ」と励ますのではなく、ロマンチックに同意してくれる。最高にやさしいじゃないか。くっ、リピートが止まらないぞ!

(写真は2009年、Ph/SHOGAKUKAN)
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