健康・医療

天気は体調不良にどう影響?気象予報士・小越久美さんが明かした「生理不順」の原因が「雨」にあると気づくまで 

女性の生理周期と天気の関係

ここで少し、私の話をさせてください。

生気象学に出会った20代の頃、私の目下の悩みは生理不順でした。

10代の頃はほとんど生理がなく、毎月吐き気を伴うホルモン剤を飲んだりしながら、どうにか生理を起こしているような状況でした。

お腹をおさえる女性
生理周期と天気の関係とは(写真/ゲッティイメージズ)
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20代になり、結婚や出産を意識し始めると、生理不順は大きな悩みへと変わっていきました。いくつも通院先を変え、ようやく自発的に生理が来るようになりました。最初は年に数回、しだいに回数が増えていきましたが、毎月1回というわけではありませんでした。

いよいよ妊活も考える30代。生理不順の悩みはますます大きくなっていきました。と同時に、なぜ生理が遅れたり早まったりするのだろうと、疑問が生まれるようになりました。

気象予報士というのは、気象データを分析してこれからの天気の予想を立てるのが仕事。データを集めて分析するという仕事は私の性に合っていて、プライベートでも何か気になることがあればまずデータを集めるというのが、いつもの私のやり方です。

生理日管理アプリで調査

妊活を始めたときも、まずは、自分の体のデータを集めることから始めました。

まずは、基本中の基本、生理日管理アプリを使って生理日を記録し、排卵日の予測なども参考にするようになりました。

半年ほど記録をとってみると、周期が安定していないことがわかりました。28日周期を基本としたときに、4~5日遅れた月が数回、最長では2週間ほど遅れた月もありました。

でも、生理が数日遅れることがあるという事実はわかったけれど、なぜ遅れるのかという理由がさっぱりわかりません。

あれこれ思いを巡らせる中で、ふと生理周期と天気の関係について調べてみようと思い立ったのです。

きっかけは、当時勤務していた気象予報の会社で、桜の開花予想の開発を担当したことにありました。

桜の開花予想のように生理日も予想できたら…

桜の開花は春の始まりが暖かいと早まり、寒いと遅れます。

開花宣言の基準となっている東京・靖国神社の標本木の場合は、2月1日からの気温が合計して600度を超えると桜が開花する、ともいわれています。

傘とてるてる坊主
雨が生理を遅らせる要因に……(Ph/photoAC)
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「桜の開花予想のように、私の生理日も予想できたらいいのに……」という思いがふと頭をよぎり、自分がつくった桜の開花予想の式を改修して、これまで記録してきた生理周期のデータを入れたところ、予想以上の結果が数字となって表れました。

雨がひと月に100ミリ降ると、生理が3日遅れる。

これはあくまでも私の場合ですが、雨が生理の遅れに関係している可能性が見えたのです。

さらにデータを見てみると、梅雨や台風シーズンなど雨が多いほど私の生理は遅れ、涼しくなってきた秋・冬には気温が下がるほど生理が早まることがわかりました。

このような結果が出たら、誰だって、さらに調べたくなりますよね。私は知人など複数の女性に声をかけ、みんな同じ条件のもとでデータを解析してみることにしました。

天気や季節との相性は千差万別

そこでわかったことは、天気や季節との相性は千差万別であるということ。

私のように雨の影響を受けやすい人、雨よりも春や秋など短い周期で気圧の変化が繰り返し起こることが生理に影響している人、天気以上にストレスによる影響を強く受けている人。本当に人それぞれです。

自分の傾向がわかると、それだけで心の安定につながります。

それまでは、アプリが示す生理予想日を過ぎると、「妊娠かな? それとも体調不良かな」と不安になったものですが、データを解析して以降は、「今月は雨が多かったから生理が遅れるだろうな」という予測が立てられるため、無駄にハラハラすることがなくなりました。

最終的には、アプリが示す生理予想日よりも、降水量や気温に基づいた独自の計算式で予測したほうがかなり高い確率で次の生理開始日を予測できるまでになりました。

そして、とうとう、待望の日がやってきたのです。気温が下がり、雨が少なくなってきた秋、自分の予測では遅れずに生理がくるはずだったのに、生理がきませんでした。これまで、自分の予測が一週間以上外れたことはありません。居ても立ってもいられず、すぐに産婦人科へと足を運びました。そして、妊娠5週目という超初期に、妊娠を確認することができたのです。