天気による不調は自律神経の乱れが原因
それにしても、なぜ天気によって生理周期が変わったりするのでしょうか。生気象学を学び始めた私は、「自律神経」というキーワードに出会います。天気による不調は自律神経の乱れが原因というのです。天気の変化によって自律神経が乱れることで、ホルモンバランスに影響し、それが生理周期の乱れに繋がっているのではないだろうか。
そのヒントになる出来事が起きたのは出産後です。
私が低気圧女子であるゆえんは、古傷の痛みです。「雨が降ると古傷が痛む」と昔から言われるように、古傷は代表的な気象病です。日常生活にはまったく支障がないのですが、梅雨どきなど雨のシーズンになると、むかし陸上で傷めた右足の付け根がズキズキと痛み、ひどいときには歩くのが辛いほどの痛みになってしまうのです。
でも、痛みが軽いときもあれば重いときもあるのはなぜなのかは、長い間分かりませんでした。
妊娠中はまったく症状が出なかった
その古傷の痛みですが、なんと妊娠中はまったく症状が出ることがありませんでした。体調も安定していて、自分が低気圧女子であるということすら、すっかり忘れていたくらいです。
ところが、古傷のことなどすっかり忘れ、初めての育児に夢中になっていたある雨の日、例のズキズキが復活したのです。それは、歩くのもやっとというほど強い痛みで、整形外科にでもかかろうかと考えていたのですが、翌日になってあっけなく理由が判明しました。生理が再開したのです。
つまり、私の古傷は生理前後に雨の日が重なると、悪化しているということに気が付いたのでした。
女性は生理周期によって自律神経やホルモンのバランスが変化します。痛みに過敏になっている時期に天気によるストレスがかかると、古傷などの気象病の症状が出やすくなるのではないでしょうか。また、自律神経とホルモンバランスが相互に影響し合っているのであれば、天気の変化によって生理周期が変化しても不思議ではありません。
「天気は自然現象だから、気象病はしかたがない」とあきらめてしまっているなら、それは間違い!
天気予報の精度は年々上がってきているし、自律神経も自分の心がけ次第でトータルパワーを上げていけることが自律神経研究の第一人者である小林弘幸先生のおかげで理解できました。
小林先生との共著である『天気に負けないカラダ大全』を読めば、人によっては低気圧女子を完全に卒業できるでしょうし、重度の低気圧女子から片足を抜くくらいは多くの人が成し遂げられるのではないかと思っています。
天気にふりまわされない体を一緒に手に入れましょう。
◆教えてくれたのは:気象予報士・小越久美さん
1978年、岐阜県下呂市生まれ。気象予報士、健康気象アドバイザー。筑波大学第一学群自然学類地球科学専攻(気候学・気象学分野)卒業。2004年から2013年まで日本テレビ「日テレNEWS24」にて気象キャスターを務める。その傍ら、民間の気象予報会社(株)ライフビジネスウェザーに所属し、健康気象アドバイザー・データ解析士の資格を取得。スーパーマーケットの売上予測の開発にも携わる。現在は(一財)日本気象協会に所属し、気象データとAIを活用した商品の需要予測事業に携わり、アパレルや飲料メーカーなどへのコンサルティングを行う。著書『かき氷前線予報します~お天気お姉さんのマーケティング~』(経済法令研究会)。