冬季の季節性うつ病予防に有効な食材
冬季の季節性うつ病予防につながる、体内時計(末梢時計)を整えるには、朝食の時間を意識することに加えて「炭水化物」と「たんぱく質」を摂るのがよいとされています。
炭水化物(ブドウ糖)を摂ったときに分泌される「インスリン」は、体内時計をリセットするシグナルとなるのです。そのため、朝は炭水化物を摂ることが推奨されます。
また、たんぱく質に含まれるアミノ酸に、体内時計をリセットする働きのあるホルモンを分泌する作用があることも報告されています(保健指導リソースガイド「「時間栄養学」の新たな発見 食事のタンパク質が「体内時計」を調整」https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2018/007099.php)。
そこで、体内時計をリセットする効果があるとされる「DHA」や「EPA」が含まれるツナ、「セロトニン」の材料となる「トリプトファン」が含まれている卵、これらを炭水化物と組み合わせた「ツナサンド」と「たまごサンド」を朝食に食べるのがおすすめです。
また、トリプトファンからセロトニンを合成するには、「ビタミンB6」が欠かせません。そのため、ビタミンB6を多く含むバナナチップスを加えたヨーグルトなども添えるとよいでしょう。
季節性うつ病には漢方薬も役立つ
日照時間の変化の影響で体内時計が狂ったり、セロトニンが減少したりすると、からだのさまざまな器官のコントロールや精神の安定に関わる「自律神経」のバランスも乱れがちになります。すると、イライラや不安などの精神症状があらわれやすくなるのです。
そのような場合には、「自律神経のバランスを整える」「精神を安定させる」「興奮やイライラを抑える」 などの働きのある生薬を含む漢方薬も有効です。
おすすめの漢方薬
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
自律神経を整えることで精神を安定させ、イライラや神経症に働きかける漢方薬です。更年期障害や、月経不順など婦人科系の多様な不調にも用いられます。
・抑肝散(よくかんさん)
興奮やイライラなどの神経の高ぶりを抑え、精神症状に働きかける漢方薬です。ストレスによって起こる心身の症状や、更年期障害などにも用いられます。
漢方薬を始める際の注意点
漢方薬は食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。
ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。
◆教えてくれた人:薬剤師・山形ゆかりさん
やまがた・ゆかり。薬剤師、薬膳アドバイザー、フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ。牛角・吉野家ほか薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信する「Medical Health -メディヘル-youtubeチャンネル」(@medicalhealth–7900)で簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)でも薬剤師としてサポートを行う。