スマホは集中力を低下させる
集中して物事を進めるためには、集中を阻害するものについても知っておく必要があります。特に注意しておくべきものは「スマートフォン」。2019年に大阪産業大学の山本晃輔准教授が発表した研究結果によると、講義中、自由にスマホを使用できる状況下で約10分間の動画を2本流し、視聴後に動画の内容に関して回答を求めるという実験を行ったところ、スマホへの依存傾向が高い学生ほど、「侵入思考(意図に反する望まない思考)」の抑制・制御が難しいことを示唆する結果になったそうです。
「とくに若い世代は、ネットニュースにSNSにソーシャルゲームにと、つねにスマホに視線を送り、さまざまな情報を得ようとしている人が多いです。この『あれもこれも』となってしまう状態が、1つのことに集中する能力を減退させる一因になっていると考えられます」
情報過多でリラックスの時間が減少
スマホの台頭による情報過多な社会では関心ごとが多くなり、つねに情報のアンテナを張っている状況に身を置くことになり、心身ともにリラックスできる時間は少なくなってきているといえます。
「せわしない生活を送っていると、脳が興奮状態から抜け出しづらくなってしまい、結果として自律神経が乱れることになります」
SNS依存が自律神経を乱す
リラックスできる時間が減少する状態に拍車をかけるのがSNS依存です。SNSではネガティブな情報が入ってきやすいうえ、返信内容やタイミングに関する相手への気遣いなどが余計なストレスを生みます。
「自律神経が乱れる最大の要因は、ストレスです。つまり、SNSに依存すればするほど、自律神経は乱れていきます」
集中して物事を進めるためには、集中するためのポイントを押さえることに加え、集中を阻害する大きな要因となってしまうスマホ依存を防ぐことも大切と言えそうです。
◆教えてくれた人:順天堂大学医学部教授・小林弘幸さん
こばやし・ひろゆき。順天堂大学医学部卒業、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任。「腸のスペシャリスト」として、順天堂大学に日本初の便秘外来を開設。著書に『お医者さんがすすめるバナナの「朝食化」ダイエット』(アスコム)、『医者が考案した「長生きみそ汁」』(同)など。