この時期の不調は5月病とも呼ばれますが、その原因となる気候の変化は、肌にも大きな負担になり、不調が起こりやすくなります。例えば、吹き出物(にきび)やしみ、赤みといった肌トラブルが気になることはないでしょうか。悪化を防ぐためには、早めの対策が肝心です。そこで、薬剤師の山形ゆかりさんに、5月ごろに肌の不調が起こりやすくなる原因と、対策のための食事や漢方薬について教えてもらいました。
* * *
肌の5月病が起こる原因
肌の5月病は正式な医学用語ではありませんが、心身の5月病と同じように気候や環境の変化が負担となり、5月ごろに肌の不調が増えることから「肌の5月病」と呼ばれています。
肌の5月病の1つである吹き出物(にきび)や赤みなどの不調が起こる主な原因は、季節の変わり目の気候の変化です。たとえば、気温上昇による皮脂分泌量の増加や気候の急変で受けるストレスは、肌のターンオーバーを乱し、吹き出物をできやすくします。
また、春先に受けた花粉や乾燥などによるダメージ、紫外線量の増加なども、肌の5月病を引き起こす要因です。
肌の5月病の対策方法
肌の5月病を予防・改善するには、丁寧なスキンケアや紫外線対策、睡眠の質を高めるなど、肌の内外両方への対策をすることが大切です。
丁寧にスキンケアをする
この時期の肌は花粉や乾燥、紫外線などによってダメージを受けている状態のため、肌の5月病対策としては丁寧なスキンケアが重要です。とくに、乾燥や赤みなどの肌荒れがひどい場合は肌のバリア機能が低下しているため、刺激を与えないスキンケアを心がけましょう。
クレンジングや洗顔のときは、肌を強くこすらずに優しくなでるように洗うということに加えて、ビタミンCやレチノール入りのスキンケア製品、スクラブ配合の洗顔料は刺激が強いので避けることも、肌に刺激を与えないために心がけたいことです。
また、日中は、花粉や紫外線、ほこりなどの外的刺激から肌を守るのも大切です。「朝も保湿をしっかりして、肌のバリア機能を高める」「花粉症で目や鼻周りが荒れやすい場合、ワセリンを薄く塗り、乾燥や花粉の侵入を防ぐ」などの方法が効果的です。
日焼け止め対策を早めに行う
紫外線は肌のバリア機能を低下させるだけでなく、しみやしわなどの肌トラブルの原因になります。5月はすでに紫外線が強い時期に入っているため、日焼け止めクリームや日傘を取り入れることも重要です。
ただし、効果が強すぎる日焼け止めクリームは、肌への負担が大きいため、肌荒れが悪化することもあります。買い物や散歩などの近場の外出なら、SPF10〜20・PA+~++程度の日焼け止めクリームの使用や、日焼け止めは塗らずに紫外線カット効果があるメイク下地やファンデーションを使う程度が適しています。
また、曇りの日や窓ガラス越しでも紫外線は降りそそいでいるため、天気の悪い日や室内にいるときもしっかり対策をしましょう。
睡眠の質を高める
眠ってから2〜3時間後の深いノンレム睡眠に入ったときに、肌のターンオーバーに関係する成長ホルモンがもっとも分泌されるといわれています。
肌の5月病を改善するには、この時間に深い眠りに入れるように睡眠の質を高め、肌のターンオーバーを整えることが効果的です。
睡眠の質を高めるには、心身をリラックスさせることがポイントです。就寝前にマッサージや軽いストレッチをしたり、ラベンダーや自分好みのアロマオイル(植物から抽出された天然成分100%のもの)をディフューザーやスプレーで寝室に香らせたり、リラックスできる環境づくりを意識してみてください。
ほかにも、就寝の2~3時間前に入浴する、遮光性の高いアイマスクを身につける、寝る前にスマホを見ない、寝室の照明を電球色(オレンジ色)にする、起床したらまず日光を浴びることなどが、睡眠の質を高めるのに効果的です。