ライター歴45年を迎えたオバ記者こと野原広子(67歳)。年を重ねてもライター業やアルバイトを続けながらアクティブな日々を送っている。そんなオバ記者の若さの秘訣とは?
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見た目の若返りじゃない「若さの秘訣」
「67歳? うそっ。若~い!」とよく言われる。えっ? お世辞? 社交辞令? はいはい、でしょうよ。でもここで真実を求めたって何の得にもならないから、私は真に受けることにしている。たまに言いながら口ごもったり、目を逸らせたりする若者がいるけれど見て見ぬふりよ。
というのも、私なりに若さを保つためにしていることがあって、それなりの成果を上げていると思っているからなの。
そう言うとエステとか体型維持のエクササイズを思い浮かべる人が多そうだけど、それって見た目の若返りでしょ。そんなことよりずっと心身に効果がある方法があるんだって。それは若者の中に混じること。もっといえば若者にすり寄って若いエキスを吸い取ること(笑い)。
30代が集まるイベントに“乱入”
そんな悪だくみを思いついたきっかけは昨年末にさかのぼる。私よりひと世代下のGさん夫婦と食事をしたら、大手建設会社に勤務する夫君が「こんど30代が中心の集まりがあるんです」と言い出したんだわ。「なになに」と身をのりだす私。「『一般社団法人けんせつぴーあーる』という団体を立ち上げたんですが、これは建設が生み出す魅力を一般に広めようというのが目的なんです」とリスのように善良な目でおっしゃる。そのイベント『けんせつぴーあーるないと』の講演会に来ないかというの。ものづくり全般が大好きな私は一も二もないわよ。
そんなわけで前回の講演は「アイドルから愛され力を学ぶ」というテーマで、今回は「ファッションアートディレクターから見た建設業界」。早い話、建設現場の人が見につけている作業服のここが残念という話。
正直、私も週刊誌の企画で多くのスタイリストと仕事をしてきたけれど、建設現場のスタッフのモチベーションを上げる制服とは?なんて考えたことがない。それより何より私が感心したのは30代のアートディレクター嬢の仕事の幅よ。私たちの世代では3人でしていた仕事をひとりでしているんだね。
彼女の講演が終わったら雑談タイムで、私も何人かと名刺交換をしたんだけど、名刺をいただくたびに「どんな仕事をしているんですか?」と聞く。社名や肩書きでは何をしているか想像がつかないのよ。その答えで「あ、まただ」と思ったのが“メタバース”と“AI”よ。
そこで「AIって言われて真っ先に思い浮かべるのは、ファミレスで料理を運んでくるロボットだけど合ってる?」と聞くと、「わかりやすいのがあれですよね」とすごく感じよく答えてくれるんだわ。「おばちゃんたちの仕事、奪うな、と思っちゃうけどね」と言うと「それはそう。AIが果たして人を幸せにするのかというのはよく話題に上ります」と。しかしなぁ。30代、40代と言ったら私の子供世代なのに人間ができているというのか、感じがいいったらないんだわ。年が上だの下だので態度を変える昭和人間とは大違いよ。
これまで足を踏み入れたことがない町へ
で、考えちゃったの。私は、ほんとに令和を生きているのかと。まぁ、同級生の大半はリタイアしているし、昭和人間のまま終わらせていいのかもだけどせっかくまだ体も頭も動くんだからあがいてみたいじゃない? そう思ったのはメタバースとかAIとかのむずかしい話を聞いたからではなくて、『けんせつぴーあーるないと』の会場が代田橋だったことなの。ここは上京して49年、一度も降り立ったことがない駅だったんだよね。スマホのマップを頼りにちょっと迷って辿り着く。その感じがちょっと次世代に足を踏み込んだみたいで悪くないと思ったんだわ。
だからイベント会場で話した元気印のSちゃんから「次の日曜日に久我山でイベントがあるんですけど行きますか?」と誘われて即決したのは、行き先が久我山だったからでね。その地名を聞いたとき、今年下半期の私のテーマが決まったのよ。名付けて『これまで足を踏み入れたことがない町に用事ができたら、積極的に参ろうぞキャンペーン』。
こうしてヒャハハハと笑い出すほど暑い昼日中、駅から出てすぐの商店街を歩いたら、ええ〜っ、誰も歩いていないじゃない! わあ、このシュールな風景、たまりません。ってね。こんなバカをしていたら年取っていられないでしょ(笑い)。
◆ライター・オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。
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