朝ドラ『おむすび』橋本環奈が演じる主人公はどんな音楽を聴いている? 舞台の2004年は平成“ギャル文化”の過渡期、『さくらんぼ』『瞳をとじて』『ロコローション』『マツケンサンバII』がヒット
『おむすび』の舞台、2004年当時のヒット曲
そしていよいよ2004年。ガールズヒット曲は、一青窈『ハナミズキ』、柴咲コウ『かたちあるもの』、平原綾香『Jupiter』、新たなギャル像を感じさせる『さくらんぼ』などの大塚愛がいるが、全体的にグッと大人感が増している。その1年を象徴するようなヒット曲としては、オレンジレンジ『ロコローション』や平井堅『瞳をとじて』。なるほど、映画『世界の中心で、愛をさけぶ』大ヒットの年なのか!
ヒロイン・結はどんな曲を聴いているのだろうか。キラッキラに瞳を輝かせた橋本環奈さんがキャスティングされたので、夢多き前向きヒロインと思いきや、今のところ、なかなかの夢なし陰キャである。
「あゆの妹」と言われ続けてきたことでアイデンティティの喪失感がすごい。家族の顔色を必要以上にうかがい、部活に入ることすら、勝手に諦めかけてしまう。かなりガッチリ「自分を抑える呪縛」にかかっている彼女は、どんな音楽が好きなのだろう。想像してみよう。
浜崎あゆみさんの歌詞とかハマりそうだが、結ちゃん、ギャルは嫌いだしなあ……。森山直太朗さんという線も捨てがたいが、私の推理はヒネリにヒネって、2003年『地上の星』の大ヒットで再ブームが起きていた、中島みゆきにハマっているのではないかと思う!
ハギャレンたちはどんな歌を聴いているのだろうか。当時ピークだったMDでマイベストとか作っていそうだなあ。
偶然?『マツケンサンバII』のヒットも2004年
さて、今回のドラマで、ギャルたちに負けずとも劣らずイキイキと輝いているのが祖父、永吉じいちゃん役の松平健さんだ。ドラマ「暴れん坊将軍」やヒット曲『マツケンサンバII』のイメージが強いので、現代劇は新鮮! ノーちょんまげな彼もバリバリカッコいいではないか。
そして実は『マツケンサンバII』が大ヒットしたのも2004年なのである。偶然なのか、狙いなのか定かではないが、非常に興味深い。
『マツケンサンバII』のミニアルバムリリース日が2004年7月7日。現在ドラマは4月の設定なので、ストーリーが進行し、夏になったころ、もしかしたら米田家で、永吉じいちゃんがテレビで『マツケンサンバII』を見てはしゃいだり、「スナックひみこ」で歌ったりするといった、「マツケンがマツケンブームにはしゃぐシーンを演じる」という究極のリアル&ドラマのシンクロが出てくるかもしれない。期待大だ!
マツケンシーンを心待ちにしつつ、歩の登場もいつになるかチョー気になるし、書道部のミステリアスイケメン・風見先輩(松本怜生)がどんな人なのかも興味津々。なぜか結と恋に発展する予感が全くしないが、青春の1ページを見届けたい!
なにせ、モデルのいないオリジナル作品。これからどう物語が進むのかは全くわからない。その「見えなさ」も含め、半年間の平成タイムトラベルの旅に出よう。
心に“ちょい懐”な、あの頃の歌を流しながら——。
◆ライター・田中稲
1969年生まれ。昭和歌謡・ドラマ、アイドル、世代研究を中心に執筆している。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)、『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)がある。大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し、『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。近著『なぜ、沢田研二は許されるのか』(実業之日本社刊)が好評発売中。他、ネットメディアへの寄稿多数。現在、CREA WEBで「勝手に再ブーム」を連載中。https://twitter.com/ine_tanaka
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