健康診断の数値が悪い、体形が気になるなど、健康を意識するタイミングがあっても、実際に体調が悪くなったり病気になったりしないと、ダイエットはなかなか続けられないもの。そこで、飲み続けるだけで体の悪いあぶらを落とすスープを考案し『血液と体の「あぶら」を落とすスープ』(アスコム)を上梓した医師の五藤良将さんに、健康習慣を続けるためのマインドとスープのレシピを教えてもらった。
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「不健康メンタル」を生み出すNGワード
例えば、五藤さんが考案したスープを飲み続けるだけ…というダイエットでも、「よしやるぞ!」という気合いが長続きせずに、いつの間にかスープを飲まなくなってしまった、という人が続出すると五藤さんはいう。
「続かないだろうと予言するのには理由があります。それは、健康になるためのメンタルのもち方(心がまえ)である『健康メンタル』が育ちきっていないからです。むしろ、『またうまくいかなかった』という『不健康メンタル』さえ生み出しかねないのです」(五藤さん・以下同)
合言葉は「まあ、いいか!」
ダイエットの習慣が続くだけでなく、ほかのやりたいことにも好影響があると五藤さんが話す「健康メンタル」。それを手に入れる方法は、新しく何かをはじめるとき「まあ、いいか!」を合言葉にすること。
「がんばり屋さんにはよくあるのですが、気合いを入れすぎて、絶対毎日『あぶら』を落とすスープを続けるぞ!と強く思ってしまいがちです。 さらに、あれもこれもと、食生活を極端に正そうとしがちでもあります。しかし、次第に『こうしなきゃ』という思いが重くのしかかるようになってきます」
そうして、決め事が守れない罪悪感で「どうせ」という気持ちが生まれ、それがあきらめにつながって、何度も挫折してしまうという。これが「不健康メンタル」だ。
「絶対にこうしなきゃ」という思いで自分の首をあきらめるのではなく、「たまにはいいか」と、羽目を外すことがあってもいい、むしろ、そのほうが健全だと五藤さんは考える。
「1日や、数日単位で考えてしまうから、落ち込んだり、しんどくなってしまうのです」
早く結果を出そうと焦るのはNG
「また明日からがんばればいい」くらいの気持ちでいるのがよく、焦ってすぐに結果を求めようとするのは、「不健康メンタル」のもと。「早く結果を求めようとすると、逆に結果が出ない」と五藤さんはいう。
「そもそも、みなさんの体にたまっている悪いあぶらは、1日、2日でたまったものではありません。あなた自身が長い年月をかけて少しずつ、少しずつためてきたものです」
健康的なダイエットの目標設定は、3か月〜6か月で3%減といわれており、この数値は80kgの人なら2.4kg、60kgの人なら1.8kgと見た目などでの実感は得にくい。しかし、長期的にみると、健康に関してはゆっくりやろうとしたほうが、急いで結果を求めた人よりも結果が出るという研究もあるという。
一例として、短期間(3か月)と長期間(9か月)で減量したグループを比較した研究では、後者の方がダイエットの成功率は高かったものの、3年後には前者の方が脂肪量の減少が大きかった。さらにこの研究では、急激な減量をした被検者の骨密度は、緩やかに減量した被検者の約2倍も減少していたという。
「また、国内で行われた調査によると、特定健診でメタボリックシンドロームと診断された約3400人のうち6か月間で体重を3〜5%落とした人たちは、血圧も血糖値も、そして悪玉(LDL) コレステロールも改善したという報告があります」
多くの患者を診てきた五藤さんの経験として、血圧や血糖値には年内変動があるという。そのため、目の前の数字に一喜一憂するよりも、体にいい食生活を続け、体が確実に変わってきていると信じる方がいいと話す。
「一概にはいえませんが、夏は自然に運動量が増えたり、気温も高くなるため、血圧も血糖値も数値がよくなる方が多いです。逆に、運動量が減り、気温も低下する冬は、悪くなる方が多いです。 血圧や血糖値ほどではないですが、コレステロールや中性脂肪にも変動があります」
具体的にイメージを思い描く
「何かこうしたい」と思うことは物事を続ける強いモチベーションとなる。娘のために長生きしたいと願っている五藤さんの患者もその1人で、健康的な生活を心がけ、健康管理につとめることができているそうだ。
さらに、「『こうしたい』と『これならできそう!』を掛け合わせると、最強の『健康メンタル』が生まれてきます」と五藤さん。
目標の達成率をあげるためにすることは、手帳や日記、チラシの裏でもいいので自身の目標を書き出すだけ。
「ドミニカン大学の心理学教授ゲイル・マシュー博士の研究によると、自分の目標を書き出せば、それを達成する確率が4%も上昇するというのです。紙に書き出すなら、1分もかからないでしょう。それだけで達成できる確率がグンと上がるなら、やってみてもいいかも?と思いませんか」
五藤さん自身も、医師への憧れを最初に抱いたときは、自分がなれるとは思っていなかったという。しかし、「医師になりたい」という明確な目標を掲げてから、できることをコツコツ積み重ね、夢をかなえたという。
「『あぶら』を落とすスープ」のレシピ
最後に、ポリフェノールや食物繊維などさまざまな栄養を含み、飲み続けるだけでやせることができる、五藤さんが考案した「あぶらを落とすスープ」の作り方を紹介する。
1杯あたりの栄養成分は、エネルギー63kcal、たんぱく質4.7g、脂質3.5g、炭水化物2.3g、食塩相当量1.1g。
《材料》(10杯分)
かつお粉…50g 黒すりごま 大さじ3 (18g)エキストラバージンオリーブオイル…大さじ2(24g) りんご酢…大さじ1 (15g) 粉末緑茶… 大さじ2 (約7.2g) しょうゆ… 70g 玉ねぎ…1個(200g) しょうが… 20g
《作り方》
【1】かつお粉、黒すりごま、エキストラバージンオリーブオイル、りんご酢、粉末緑茶、 しょうゆをボウルに入れてよく混ぜる。
【2】玉ねぎをすりおろし、さらにしょうがをすりおろす。
【3】【1】に【2】を入れてよく混ぜる。
【4】【3】を製氷皿(1キューブ40gのもの)に詰めて冷凍庫へ (臭い移りが気になる場合は、ラップをかぶせる)
これを2週間ほど飲み続けると、疲れにくくなった、おなかの調子が整ってきたなど体の変化を実感できるようになり、さらに続けることで、血糖値などの数値の減少も期待できる。
◆教えてくれたのは:医師・五藤良将さん
ごとう・よしまさ。医療法人社団五良会理事長。竹内内科小児科医院院長。1978年、 千葉県生まれ。 防衛医科大学校卒業後、自衛隊医官として勤務。その後、津田沼中央総合病院などを経て、2019年9月に竹内内科小児科医院を継承し院長となる。生活習慣病をはじめ、診療は多岐にわたる。https://www.youtube.com/channel/UCpJjtOyjF22s3NY5MEgeRbA