野菜は冷凍することで保存期間が伸び、調理時間の短縮につなげることもできて便利になる。「冷凍することで、栄養価がアップする野菜もあります。冷凍のテクニックを知っておけば、できるだけ味を落とさずに保存することもできます」と語る野菜ソムリエプロの福島玲子さんに、野菜別の冷凍テクニックを教えてもらった。
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野菜を冷凍する基本、鮮度と空気に気をつける
野菜は冷凍保存しても、栄養を損なうことはほとんどありません。生のまま冷蔵保存するよりも鮮度を維持して長持ちするうえに、調理時に使いやすく時短にもなる冷凍テクを知って調理の負担を減らしましょう。
野菜の冷凍術の基本ルール、保存期間は1か月程度
基本のルールは、鮮度のよい状態で冷凍庫へ入れること。新鮮なまま冷凍することで、解凍後もおいしく食べられます。
また、冷凍庫内の食材は空気中の水蒸気が凍り、霜が付着して水分が失われることがあるので、できるだけラップでぴったりと包み、保存袋の空気をしっかり抜いてから冷凍してください。
冷凍に時間がかかると、食材の水分が凍る際に大きな粒子となって細胞を破壊し、味が落ちることがあります。できるだけ早く冷凍するために、トレイなどへ食材を平らに広げると均一に冷え、冷凍までの時間も短縮されます。また、加熱した野菜を冷凍するときは、熱を冷ましてから冷凍しましょう。
なお、冷凍野菜の保存期間の目安は1か月程度です。また、再冷凍は品質面も衛生的にも好ましくありませんので、解凍後に一度で使い切れる量に小分けして冷凍することをおすすめします。
冷凍に向かない野菜は?
基本的に野菜は冷凍してOKですが、水分の多いレタスやルッコラ、豆苗などスプラウト系の野菜は、冷凍すると水分が出て食感が落ちるのであまり向いていません。これらの野菜は購入後できるだけ早めに食べるようにしましょう。
栄養やうまみが増える!冷凍がおすすめの野菜
野菜の中には、冷凍することで栄養が増えたり、味がおいしくなったりするものもあります。中でもおすすめしたい4つをご紹介します。
冷凍するとうまみアップ!トマト&玉ねぎの保存
トマトは冷凍することで皮がむきやすくなるうえに、細胞壁が壊れてうまみ成分のグルタミン酸がアップします。
丸ごとの場合は、ビニール袋で茶巾包みにしてから、フリーザーバッグへ入れて冷凍庫へ。カットの場合は、保存袋に入れて空気を抜いたら、平らになるように広げて冷凍します。カレーなどの煮込み料理や、トマトソースなどの加熱調理に使いましょう。
玉ねぎもトマトと同様、冷凍によって細胞壁が壊れるので、うまみや甘味が出やすくなります。皮をむいてからみじん切りにして、フリーザーバッグへ。こちらも空気を抜いてから、平らにならして冷凍庫に入れます。
生のときよりも水分が分離しやすく、飴色玉ねぎを時短で作ることができます。
きのこと小松菜も冷凍保存可能
冷凍するとうまみ成分のグアニル酸が増える、きのこ類。細胞壁が壊れることで出汁も出やすくなるので、スープや味噌汁の具材におすすめです。
保存するときは、石づきを取ってから、好きな大きさにカットしてフリーザーバッグへ。きのこは水分に弱いので、洗わずに冷凍します。目立つ汚れがあるときは、キッチンペーパーで拭きましょう。
また、小松菜は葉物野菜の中では珍しく、加熱せずに冷凍保存ができます。根を切ってから使いやすい大きさにカットし、フリーザーバッグに入れて冷凍してください。ただし、冷凍すると青臭さが増す場合があるので、気になる方にはおすすめできません。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ