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《双子コンビの裏の顔》ダイタク“酒・ギャンブル・女のクソ人生”語る【M-1GP直前特集・1杯目】

M-1グランプリ決勝進出の切符を掴んだダイタク(撮影/田中智久)
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漫才の日本一を決める頂上決戦『M-1グランプリ2024』。記念すべき第20回大会を迎える節目の年、ようやく決勝の切符を掴んだのは、今年ラストイヤーで初決勝進出の双子コンビ・ダイタク。決勝のステージに立つ2人に、2時間超えの独占ロングインタビューが実現! ダイタクといえば“東京吉本イチ”の酒飲み。ということで、ガッツリとお酒を飲み、焼肉を食らいながら熱い話を聞きました。

いろんな感情があったと思うし気を遣わせてしまったなって

──決勝進出おめでとうございます! まずは率直に、決勝が決まった瞬間の心境を聞かせてください。

大:とにかくほっとしたがいちばんです。周りに「おめでとう!」って言われて嬉しいという感情が出て、それ以外は、よかった~って少し肩の荷が下りたというか、憑き物が取れたみたいな感じでしたね。

拓:「ちょっとうちの病院ではわからないので、大きな病院に行ってください」って紹介状を書いてもらって行ったら異常なしだった、っていう安心感に近いです。

──Xではトレンド1位をとり周りからの反響も大きく、改めてダイタクさんは芸人仲間やファンのかたから愛されているなと思いました。

大:よく愛されているって言われるんですけど、みんな多分ただただ心配だったんですよ。

拓:不憫だったんでしょうね(笑)

大:オズワルドの伊藤なんて、僕らのこともともと大嫌いだったんで。期が近くて仲の良い後輩は「最初はダイタクさん怖いけど、仲良くなったら可愛がってくれるし、よく飲みにも連れて行ってくれるし、馬鹿なことも一緒にやってくれるし」って言ってくれるんですけど、
離れた後輩は「あの人怖いよな」とかそういう考えにどうしてもなっちゃうんです。

拓:ゆにばーすの川瀬も俺らのこといつかぶっ殺してやるとか。でもそんなこと言ったら俺らも先輩に目を合わせてくれないとか山ほどありましたからね。でも向こうからしたら悪気はないんですよ。例えば劇場での挨拶だって、一人一人と目を合わせて頭下げてとかしていたら本当にキリがないんで。もう中さん(もう中学生)くらいの方は一人一人と目を合わせて挨拶してくれますけど(笑)

メニューを一緒に見ながら料理を選ぶダイタク(撮影/田中智久)
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大:1年目とか若手の頃はいろいろあるし、そういうもの。伊藤と仲良くなってきたときに、伊藤が俺のいない飲みの席で言ってたらしいんですよ。「俺やべぇ、ダイタクさん好きかもしんない」って。ぼくらなんて全然売れないからずっと劇場に出ていて、後輩たちも同じ劇場で苦労しているときに一緒に飲んだり、後輩たちにお節介で世話を焼いていたから、みんなおめでとうって言っているだけ。俺らよりも先に決勝に行った後輩たちは「俺らが先に(決勝)行っちゃったよ」「ダイタクさん今年もダメだったか…」とか「変に声をかけてプレッシャーになっちゃったらどうしよう…」とか、いろんな感情があったと思うし気を遣わせてしまったなって。

拓:スタッフさんも含め、周りにめっちゃ気を遣わせていたんで。

大:俺らなんてほんとクソで、酒ばっかり飲んで、ギャンブルやって、女の子と遊んで、金なくなって、歩いて帰ってとか。ずっとそんな人生だったから。

拓:ほんとそう。ろくなもんじゃないですよ。しょっちゅう後輩から金も借りるし。

大:(笑)

拓:伊藤から借りた金で、「オイ、飲み行くぞ」って伊藤を誘ったりとか平気でしていましたからね(笑)

大:それなのに最後「ご馳走さまでした」って言ってくれるんですよ(笑)

拓:お前の金なんだけどなぁって思いながらね。

大:決勝が決まった後はいろんな方から連絡が来て、近しい先輩たちからは「やったな!」「やっと行けたな」とか言ってもらえて。ニューヨークの屋敷はわざわざ配信を買って見てくれてたんですよ。「ベストパフォーマンスです。こんなこと言うのもあれですけど、多分行ったと思います」って連絡をくれてめっちゃ嬉しかったですね。

拓:そういえば準決勝の前の日に、後輩の大自然のしんちゃんとか、シカゴ実業の中川ひちゃゆきに、「お前、人のために神社行ったことねぇだろ?“ダイタクさんが決勝いけますように”とかお願いして来いよ~」って冗談で言ったら本当に神社に行って願掛けしてくれたんですよ。準決勝当日の朝にLINEくれて「ダイタクさん!神社行ってきました!」って。

大:俺にもLINE来た!

拓:まじでそういうのが元気玉になった感じでしたね。

実は準決勝の前の日、初めて酒を抜いたんです

──準決勝の舞台が終わった後、手応えはありましたか?

大:自分たちの体感としてはしっかりやれて、ちゃんとウケて、大丈夫かな~って。

拓:出番前に大の顔を見たら「大、緊張してねぇわって思ったんですよ」

大:顔見ればわかります。

拓:じゃあ俺も丁寧にやれば大丈夫だなって思ったときに、ちょっと緊張するんですよ。逆に大が緊張していたら、俺だけは冷静でいなきゃと思って冷静になれたりとか。

大:準々決勝はすげぇ緊張するんですけど、準決勝だとここ3年くらい緊張はしなくて、もうやるだけだと。今年舞台袖で拓のことをぱっと見たら、拓は緊張していて、舞台に出たときの最初の言葉が0.03くらい詰まったんですよ。

1品目はナムル盛り合わせ(撮影/田中智久)
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拓:これややこしいんですけど、“その時”は緊張していないんです。「丁寧に言わなきゃ」って思った時に0.03秒くらい詰まったんですよ。今日あんまり舌が回らない日だってそのときにわかるんです。そこからは僕は置きにいく作業。感情を乗せてベストパフォーマンスをするよりも、今日は噛まない方にシフトしたっていう。

大:ぼくらの漫才はテンポが速いんで、今日調子悪いって思ったときに2、3回は絶対噛むんですよ。セリフ量も多いんで。

拓:どんなに気を付けてもね。

大:実は準決勝の前の日、初めて酒を抜いたんですよ。マッサージにも行ったらめちゃくちゃ元気になって(笑)。「今日は噛まないわ!」って思ったときって、どんなセリフでもめっちゃ早く言える状態になるんです。それで拓の緊張を落ち着かせるしかないと思ったんで、最初の振りとボケまでの間をゆっくり大きな声でしゃべったんです。でもそれはお客さんも気づかないし、下手したら拓でさえも気づかないくらいの。ちょっと間を与えて冷静になってくれたらいいなって思ったんですけど、1、2分やって、拓はこのままの状態が続きそうだと思ったので、とにかく俺はリラックスしている感じを出してベストパフォーマンスで行こうと。でもそれはお互いさまで、逆のときもあったし。

拓:だから置きにいけるようになっただけマシですね。これはもう芸歴があるから。どのコンビもそうですよ。

2杯目につづく

【プロフィール】

ダイタク/1984年12月28日生まれ。熊本県出身。2009年に結成した双子コンビで、東京吉本に欠かせない兄貴的存在。12月22日18時30分から生放送の『M-1グランプリ2024』(テレビ朝日系)に、初の決勝進出を決めた。