2024年2月、3万9000円超えの「バブル超え最高値」を更新し沸いた日経平均株価は、2025年にはさらなる成長を遂げると予想されており、一説には「4万6000円を超える」ともいわれているほど。なぜ、これほどの株高が予測されるのか。
輸出企業の多い日本にとって円安はプラスに
こころトレード研究所所長の坂本慎太郎さんは「日経平均4万円台は決して不思議ではない」と語る。
「2025年もやはりアメリカ経済が堅調で、アメリカへの輸出産業が多い日本企業にとっては、業績アップのチャンスになるでしょう。また2025年も日米の金利差はほとんど埋まらないはずなので、円安傾向が続くと考えられる。輸出企業が多い日本にとって、“日本の商品が安くなる”円安はむしろプラスで、2025年も10%程度の利益成長が見込めます。
加えて各企業の収益に対する意欲や配当など、株主還元の動きも高まっているので、相場環境はさらによくなるはず。私も、日経平均3万6000~4万4000円の相場を見通しています」
2024年1月から始まった新NISAが2年目を迎え、高配当ETF(上場投資信託)などを買う動きもあるが、坂本さんは「ETFはおすすめできない」と話す。
「ETFでは投資スキルが上がりません。どうせなら、値上がりや高配当が見込める個別銘柄を自分で選んで買う方がよほど意味があるうえ、値上がりも期待しやすい。新NISAの成長投資枠を使って買えば、利益が所得税非課税になります」(坂本さん・以下同)
特に注目したい「インバウンド銘柄」
特に注目したいのは、訪日外国人向けのサービスを提供する小売りやホテルなどの「インバウンド銘柄」だ。2024年の訪日外国人数はコロナ前の水準を上回る3500万人ペースと、過去最高。円安傾向が続けば、2025年はさらに増加するはずだ。
「例えば、百貨店の大丸・松坂屋を展開する『J.フロント リテイリング』。大丸百貨店本店のある大阪・心斎橋は特に外国人観光客が多く、心斎橋店は利用客の6割以上が訪日外国人ともいわれるほど。
ホテルでは、世界的フランチャイズであるチョイスホテルズを手がける『グリーンズ』は、外国人にもなじみ深いため、業績アップが期待できます。
一方、国道沿いや駅前など、アクセスしやすいビジネスホテルを展開する『ABホテル』や、日本国内だけでなくアジアでも利用できる宿泊予約サイトの『tripla』も、2025年以降評価が高まるかもしれません」
自動車部品メーカーが狙い目
ただし、これらのインバウンド銘柄は、成長が期待できる一方、持っているだけでもらえる「配当金」は少なめ。「高配当」を狙うなら、業績が安定して規模の大きい大企業の中から選ぶといい。
「いま注目すべき高配当株は、トランプ景気の追い風とコロナ禍からの挽回生産が期待できる自動車関連。中でも自動車メーカーではなく、部品メーカーが狙い目です。
例えば、日産との経営統合が浮上しているホンダ系の車体骨格部品の『エイチワン』は配当利回りが2.6%前後、『ジーテクト』はなんと4.7%前後の高配当で、しかも15年連続増配中です。
また、金融系も配当が高く、2025年はさらに好調が期待できる。『三菱UFJフィナンシャル・グループ』、『三井住友フィナンシャルグループ』、『みずほフィナンシャルグループ』の3大メガバンクの配当利回りは軒並み3%超え。
また生命保険会社も期待度が高く、『第一生命ホールディングス』『T&Dホールディングス』はいずれも3%近い水準となっています」