健康・医療

《アメリカで女性の診断率が増加》大人になってから「自閉症」と診断される人の特徴は? 医師は「ものすごく賢くて敏感な人」と解説

自発的に診察を受けに来る女性も増えている

頭痛や不眠、うつなどの症状が出て病院にかかり、その治療中にASDと判明するという。

「10年ほど前に診断基準が改定され、ASDなど発達障害の情報が広く周知されたことで専門外の医師も診断できるようになりました。
患者が増えたというより、もともと苦しんでいた女性がようやく社会に気づいてもらえたという方が正しいかもしれません」(市川さん)

しかし、神尾さんによるとASDが社会に認知されたことにより、自発的に診察を受けに来る女性も多いという。日常生活や社会生活に困難を感じながらも理由がわからず、友達に相談しても「そんなことは誰でもあるよ」と言われ、苦しさが伝わらず絶望してきた人たちである。

「専業主婦になり家事を一手に引き受けたものの、こだわりが強いために時間内に終わらせることができず、帰宅した夫から“家事もできないのか”と責められる女性や、ママ友グループの輪にうまく入れない女性。ほかにも、有能な職業人としてがんばってきたが職場のストレスで心身の不調に苦しむ女性など、環境の変化が原因で診察を受けに来る人が増えています。

問診で診断に期待することを尋ねると“新しい人生を踏み出したい”と答える人が多い。本当に苦しいどん底にいても、もっとよい未来にできるはずという感覚を持っていて、“私は悪いことをしていない”“がんばっているのでこんなことで終わるはずない”と、どこかで信じているからこそ自分と向き合おうと診察に足を運ぶ決心をされるんです。苦しみながらも前向きで、本当に強いなと感じます」(神尾さん・以下同)

そして診断された人は、どこか晴れやかな顔になるという。

窓から外に向かって両手を上に伸ばしている女性
診断されてよかったという女性も多い(写真/PIXTA)
写真3枚

「“自分の努力不足”“欠陥がある人間”と思い悩んでいたのが違っていた、無理な努力をしすぎていたことが明確になって楽になった、診断されてよかったとおっしゃるのです。
ある女性が“つきものが落ちたのはこういうことか”“空が晴れ渡ったようだ”と表現されていたのが印象的でした」

ASDとわかって職場を変え、のびのびと働けるようになった例もある。

「日本では“挨拶できない”と評価されず苦しんだ人が、思い切ってシンガポールへ移住したら“挨拶しないけど仕事はできる人”と評価されて、元気に活躍しています。特性があっても環境によって評価は変わるのです」(市川さん)

上司が変わっただけで元気になる例もあるという。もし苦しんでいるならば、まずは診察を受けよう。それが、生きやすい人生への第一歩となるかもしれない。

※女性セブン2025年2月6日号

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