健康・医療

《低体温だと病気のリスク上昇》体温を上げる日中の過ごし方「5本指ソックス」「1日3800歩」「湯たんぽを太ももの上に」

皿にのったしょうがと湯呑に入ったお茶
健康長寿のために、体温を0.5℃上げることが大切(写真/PIXTA)
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1957年に東京大学の研究グループが行った計測では、日本人の大人の平均体温は36.9℃だった。しかし、2008年に医療メーカー・テルモが行った調査では、36.1℃と、50年間で0.5℃以上も体温が低下。体温が下がると免疫力も低下し、がんの活性化、認知症の進行にもつながる。健康長寿のために、体温を0.5℃上げよう。

日本人はこの50年で低体温化。病気のリスクも高まる低体温

日本人の体温低下の背景には「電化製品の進化」があると、医師の川嶋朗さんは指摘する。

左手の脈を右手で押さえている
体温を1℃上げると免疫力が高まるといわれる(写真/PIXTA)
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「1957年頃から一般家庭に冷蔵庫が普及し始め、4℃以下の冷たいものを摂るようになってから、体温の低下が見られるようになりました。

最近は、子供の頃からエアコンのある部屋で過ごす人も多いため、夏でも汗をかきにくくなっている。それも大きくかかわっています」(川嶋さん・以下同)

体温を1℃上げると免疫力が高まるといわれるが、川嶋さんは、0.5℃でも効果は充分期待できるという。

「低体温になると、がんや認知症などあらゆる病気のリスクが高まります。ですが、体温が0.5℃上がるだけで体内酵素が活発化し、体の機能全体が改善。免疫力もアップします。肉体面だけでなく精神面でも安定し、ストレスなく過ごすことができます。

私は温活を長年しているおかげで、周囲から『20才は若く見えますね』と言われることもあるほどです。すぐに温活を始めましょう」

またストレスを感じると体温が下がるためリラックスすることも大事。日々の暮らしの中に体温を上げる方法はいくつもある。これから紹介する具体例を見て、できることから取り入れよう。

体を動かして血流をアップさせる日中の過ごし方

「体温を上げるには、朝の過ごし方が大切」と、川嶋さんは言う。

「朝はカーテンを開けて、しっかりと室外光を浴びて、体内でセロトニンを合成させましょう。セロトニンには睡眠と覚醒を調整する作用があり、体温を上げるために大事な脳内物質です」(川嶋さん)

【朝のルーティン。白湯には加熱しょうがをプラス】

体温を温める朝のルーティン白湯には加熱しょうがをプラスするイラスト
白湯には加熱しょうがをプラス(イラスト/尾代ゆうこ)
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「朝飲む白湯には、加熱したしょうがを少量プラスして」と、漢方薬剤師の大久保愛さんは言う。

「すりおろしたしょうがを耐熱容器にひたひたの水と一緒に入れて、電子レンジで1分程度加熱した『レンチンしょうが』がおすすめです。冷蔵庫で3日ほど持ちます」(大久保さん)

【朝支度をしながら手首と足首を回す】

「足首の関節まわりの筋肉が硬くなると、足先が冷えやすくなる」と言うのは、温活指導士の川崎真澄さん。

「起き抜けに足首を回したり、かかとを上げたりすると関節まわりの筋肉が柔らかくなり血流がよくなります。手首も同様で、回すことで指先まで血が巡るようになります」(川崎さん・以下同)

【指先の冷えは手浴で温める】

寒い朝、かじかんで指先がうまく動かないほど手が冷たい場合は、手浴をするのも手。

「洗面器などに40℃前後のお湯をはり、5分ほど両手をつけると温まります」

【5本指ソックスを履く】

「冷え対策には5本指ソックスがおすすめ」と言うのは、大久保さんだ。

「足指を動かしやすいため血流がよくなり、冷えにくくなります」(大久保さん)

【通気性のよい肌着を選ぶ】

「シャツやセーターなどの重ね着をするより、肌着をきちんと着る方が冷え予防になります。汗をかくと体が冷えてしまうので、肌着は通気性がよく、汗を吸収する綿素材がおすすめです」(川嶋さん・以下同)

【1日3800歩程度歩く】

「1日3800歩程度歩くだけでも認知症リスクは25%減らせ、6000歩程度に増やすと約57%低減できるとされています。運動習慣がない人は、まず3800歩を目指すことから始めましょう」

【3日に1度の筋トで筋力アップ】

体温を上げるには、筋肉をつけ基礎代謝を上げることが大切だ。

「お尻や太ももなど、大きな筋肉を動かすためにスクワットを行いましょう。両足を肩幅に開き、真下に腰を下ろすようにひざを曲げ、元に戻します。1セット10~20回を1日3セット行い、1日行ったら2日間休息し、筋線維を休ませましょう。効果を実感するためにも3か月は続けてください」

【下半身は特に温める】

下半身は心臓から遠く、地面に近いため冷えやすい。

「太ももには大きな筋肉が集中しており、たくさん血管が通っています。裏起毛のズボンなど、太ももを温める服装を心がけましょう」

【湯たんぽを太ももの上に置いて作業する】

「湯たんぽは布団の中だけでなく、ふだん使いをするのがおすすめです。私は仕事中でも太ももの上に小さな湯たんぽを置いています。血流の多い大きな筋肉のある太ももを温めると、全身に温かい血が巡るようになります」

【腹巻きやカイロでお腹を温める】

「お腹の冷えは全身の冷えを招きます。おへそまわりには胃腸の働きをよくし、エネルギー代謝を上げるツボがあるため、ここを冷やさないためにも、寒い時期に腹巻きは必須。その上から使い捨てカイロを貼って血行をよくしましょう」(川崎さん)

【マッサージで血行をよくする】

マッサージで血行をよくする方法のイラスト
マッサージで血行をよくする(イラスト/尾代ゆうこ)
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温めに良いツボの解説イラスト
温めによいツボ(イラスト/尾代ゆうこ)
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手のひらを20回こする。ひじのあたりを10秒温める

ひじから手首にむけて20秒ほどもみほぐす

陽池(イラスト参照)に手のひらを置き、円を描きながら10秒温める

「手足の冷えは、動脈の流れに沿って体の中心から手足に向けて優しくさすったりもんだりすると、血流が促進され指先まで温かい血液が届きやすくなります」(川㟢さん)。手の甲にある陽池のツボを温めるのも可。

◆教えてくれたのは:医師・川嶋朗さん
神奈川歯科大学特任教授、統合医療SDMクリニック院長。著書に『60歳から体温を「0.5度」アップする健康法』(Hanada新書)ほか。

◆教えてくれたのは:鍼灸師・温活指導士・川崎真澄さん
グラン治療院東京院長。共著に『冷え知らず先生が教える温活百科』 (ワン・パブリッシングムック)がある。

◆教えてくれたのは:漢方薬剤師・大久保愛さん
アイカ製薬代表取締役。食薬の第一人者。著書に『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)ほか。

取材・文/廉屋友美乃

※女性セブン2025年3月6日号

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