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《コメの消費を抑える》節約、ダイエット、時短になる「おかゆ」活用術 「少量でお腹いっぱいに」「体が温まって免疫力アップ」「胃腸をいたわる」

おかゆ
《コメの消費を抑える》節約、ダイエット、時短になる「おかゆ」活用術(写真/PIXTA)
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「令和の米騒動」はいまだ収束の見込みが立たず、米の価格は高止まりを続けたまま。それでも米を食べたい!というならば、「おかゆ」はどうだろう。胃腸が弱ったときや風邪をひいたときの食事というイメージが強いおかゆだが、実は健康や美容にもいいことだらけ。そのうえ、米の消費量が少なく節約効果も。作らない手はありません。

おかゆは“スーパーフード“

米は高いけど、食べる回数を減らしたくはない――。そんな願いを叶えてくれるのが「おかゆ」。普通のご飯に比べ米の量が半分ほどでいいため経済的で、かつ満足感も充分に得られる米価格高騰時代の優れた節約料理なのだ。管理栄養士の金丸絵里加さんが言う。

「水分をたくさん含んでいるので、少量のお米でお腹がいっぱいになります。年を重ねると、水分摂取の回数が減って体が乾燥状態になってしまうので、効率よく“水分を摂れる”食事でもあるでしょう。また、胃腸から体全体を温める温活にもなって免疫力アップにもつながる。

熱いのでゆっくり食べることになりますから、血糖値が上がりにくく満腹中枢を刺激して食べすぎ防止にもなり、ダイエット効果も期待できます。消化もよく、胃腸への負担も軽いため体をいたわることにもつながるなど、一杯でいくつもの効果が得られる“スーパーフード”といえます」

おかゆは「なんでもアリ」

とはいえ、毎日おかゆでは飽きてしまうのでは?と思う人もいるだろう。金丸さんは、おかゆのバリエーションは想像以上にたくさんあると続ける。

おかゆ
おかゆのバリエーションは想像以上にたくさんある(写真/PIXTA)
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「食べるスープのような感覚で、栄養バランスのいい食材をおかゆに混ぜたり、上にのせたりとアレンジはいくつもできます。野菜やたんぱく質を一緒に摂ることを意識するといいですね」(金丸さん・以下同)

金丸さんがすすめるのは、食感や風味を加えること。

海藻や豆は、乾物や缶詰で安価に買えて取り入れやすい
海藻や豆は、乾物や缶詰で安価に買えて取り入れやすい(写真/PIXTA)
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「海藻や豆は、乾物や缶詰で安価に買えて取り入れやすい。豆は蒸し大豆でも水煮でもいいです。食物繊維やたんぱく質が摂れて、栄養価がアップします。おからを合わせるとボリュームも出て、食べ応えも出ます」

おかゆは、洋風にも中華風にもアレンジ自在。

トマトジュースで炊くとトマトリゾットのように
トマトジュースで炊くとトマトリゾットのように(写真/PIXTA)
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「水ではなく、トマトジュースで炊くとトマトリゾットのようになって雰囲気がガラッと変わります。そこにアボカドをのせると彩りもよく、栄養面もバッチリです。ヨーグルトを最後にのせると、サワークリームのようにさっぱり食べられて、腸活にもなります。缶詰のツナを汁ごと加えればコクも出て、おかゆの物足りなさが軽減されます。中華だしを入れたり、ラー油やナンプラーをたらしたりすると中華風や東南アジア風にもなる。

そこにアボカドをのせると彩りもよく、栄養面もバッチリ
アボカドをのせると彩りもよく、栄養面もバッチリ(写真/PIXTA)
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価格が安く高たんぱくな鶏の手羽元や手羽中と、皮を剝いた丸ごとのにんにくを一緒に煮込めば韓国の参鶏湯風に。韓国風ならキムチとチーズを合わせるのもおすすめです。発酵食品を組み合わせると、腸内環境がよくなります」

韓国風ならキムチとチーズを合わせるのもおすすめ
韓国風ならキムチとチーズを合わせるのもおすすめ(写真/PIXTA)
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牛乳で炊いてスイーツ風に

おかゆの汎用性は高く、スイーツ風に仕上げることも可能だ。

「牛乳で炊いてミルクがゆのようにして、あんこやバナナを合わせてもいいですね。牛乳で炊けばカルシウムも摂れて栄養価も高い。調味しなくても食べられるので、減塩効果も期待できます」

ミルクがゆのようにして、あんこやバナナを合わせても
ミルクがゆのようにして、あんこやバナナを合わせても(写真/PIXTA)
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「なんでもアリ」で、包容力があるからこそ、わざわざ材料を揃えなくても、冷蔵庫にあるものを合わせるだけでおいしくなる時短料理であることも見逃せない。

「ナムルや餃子、煮物やおひたしなど残ったおかずをのせたり混ぜたりするだけで、満足感が出てその一杯だけで充分な完全食になる。一方、お漬けものやしらすやかにかまなどをパパッと入れるだけでもおいしいので、忙しい朝や夕ご飯の時間が遅くなったときなどは、それですませてしまえば消化もよく睡眠の質も高まるでしょう。

かまなどをパパッと入れるだけでもおいしい
かまなどをパパッと入れるだけでもおいしい(写真/PIXTA)
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最近は、野菜の皮やヘタを煮出した“ベジブロス(野菜だし)”の活用が、栄養価も高くフードロスを減らすと注目されてますが、この野菜だしで炊くと、味つけをしなくてもおいしく食べられると思います。みそ汁のだしをとるときに使った煮干しや昆布、かつおぶしなどを“再利用”してもいい。大根やにんじん、かぶの皮なんかはわざわざ煮出さなくとも、こまかく刻んで一緒に炊いてしまってもいいですね」

わざわざ炊かなくとも、冷凍ご飯があれば水やスープと一緒に鍋に入れて10分ほど煮立てるだけでもできる。これからの季節には、冷や汁風のアレンジも。

「あまったみそ汁を冷たいままおかゆにかけて、薄切りにしたきゅうりをのせてごまをふるだけ。サラサラっと食べられますよ。暑くなってくると胃腸が弱って、消化が追いつかないことがあるので、冷房や冷たい飲み物で体を冷やさないためにもおかゆを習慣にするのは体調維持にも効果が大きい。免疫力も高まり、病気予防にもつながります」

「早い・安い・うまい」プラス健康も

価格が安定しているもち麦やオートミールを混ぜることで、節約効果はさらに高まる。食物繊維が豊富なため、健康効果もダブルでアップ。

また、おかゆは全がゆ、五分がゆなど水の割合で食感も変わるので、その日の気分や体調に合わせて調整してもいい。

「トマトがゆやミルクがゆは別ですが、調味しすぎないこともポイント。素材の持つ味を生かすことで、飽きずに食べられます」

“早い・安い・うまい”といえば、ファストフードの代名詞だが、おかゆはさらに健康もついてくる、まさにスーパーフード。今日から始めてみよう。

※女性セブン2025年4月10日号

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