
野菜の価格の高止まりが続いていることから、関心が集まっている家庭菜園。なかでもプランターでの野菜栽培は、ベランダなどの限られたスペースでもできて、節約にもつながる。家庭菜園をしている料理研究家の浜内千波さん(70才)に話を聞いた。
野菜栽培は料理と一緒。失敗と試行錯誤の繰り返し
浜内さんが家庭菜園を始めたのは、いまから20年ほど前のこと。30坪ほどある自宅の庭でミニトマトから育て始めたという。
「私も夫(70才)も土をいじりたいという気持ちがあって、最初はミニトマトから始め、絹さや、スナップえんどうと少しずつ種類を増やしていきました。じゃがいもや玉ねぎ、行者にんにく、島らっきょうも栽培しましたが、うまく育たなくて…。その後はサンチュやロメインレタスといった葉野菜を植えるようになりました」(浜内さん・以下同)
これまで、ハーブ類や大葉、ブロッコリー、カリフラワー、ほうれん草、小松菜など、さまざまな野菜を育ててきたが、とにかく大変なのは水やり。毎日早朝から夫婦で協力し、30分以上かけて行うという。
「水やりを忘れてしまうとうまく育ちません。まとめて水やりはできませんので積み重ねていかないと。
毎日水をあげて、この子たちの成長を見て、それを収穫していただくということは、命の大切さを知ることだと思います。野菜たちの力を借りて、私たちは生きているのかなと…」

そうして育てた野菜には愛情を感じるという。
「いちごやベリー類も育てましたけど、何度も失敗を繰り返しましたね。野菜を育てるのは料理と一緒。昨日はうまくできたのに今日はうまくできない、どうして?なんて試行錯誤して…。そうして苦労して育てても、ハクビシンや小鳥に食べられたりする。だからこそ、愛情が湧くし、収穫できたときの喜びは大きくて、店で買ってきたお野菜とは違う、格別のおいしさがあります」
収穫も愛情を込めて、根ごと抜くのではなく、そのとき食べる分だけ、少しずつ取るのだという。
「小松菜も1枚ずつ剝がして収穫します。必要な分だけ取っていると、多少は硬くなるものの、味わいがあっていいかなと感じます」
育てる苦労がわかるからこそ、食材への感謝は尽きないという。
◆新料理研究家・食プロデューサー・浜内千波さん
徳島県出身。「家庭料理をちゃんと伝えたい」とファミリークッキングスクールを主宰。各種メディア・講演会に出演。主な著書に『免疫力が上がる2品献立』(主婦と生活社)。
※女性セブン2025年4月17日号