
生活用品メーカー・ライオンの調査(2024年3月にライオンが実施した「冬物のしまい洗い」に関する調査より)によると、「今年の冬物のしまい洗いは家でしたい」と答えた人が91%にのぼったという。最近は衣類や洗剤の進化で、これまでクリーニングに出していた衣類の約9割が自宅で洗えるという。あらゆるものが値上がりする中、クリーニング代節約のためにも冬に活躍した「ニット」の生地を傷めず、新品に近い仕上がりを叶える技をマスターしよう。
ニットの洗い方
縮みやすいニットも、きちんと正しい手順を踏めば縮ませることなくスッキリと洗え、風合いも取り戻せる。カシミヤなどのデリケートな素材は、“ひと手間”を惜しまず前処理を行おう。
洗濯機で洗う場合(ウール・コットン・アクリルなど)
【1】前処理

洗濯表示に、洗濯機または洗い桶の表示があるかを確認する。袖口や襟元の汚れが目立つ場合は、そこにおしゃれ着用洗剤を少量塗布し、浸透させて汚れを落としやすくしておこう。
【2】たたんでネットに入れる

汚れやすい袖口、襟元、裾が表にくるようにして、洗濯ネットのサイズに合わせてニットをたたみ、ネットの中に入れる。ネット内に余裕があると型崩れするので、必ずネットのサイズに合わせる。
【3】弱水流コースで洗う

ネットに入れたニットを洗濯機に入れ、「おしゃれ着洗い」「手洗い」「ドライ」などの弱水流コースを選ぶ。おしゃれ着用洗剤を各メーカーの規定量を守って入れる。
【4】すぐに陰干しする

洗濯後はすぐに取り出し、軽く叩いて形を整え、平干しネットなどを使って平たくして干す。ハンガーにかける場合は、図のように重さが偏らないようにして陰干しにする。
手洗いの場合(カシミヤ・アルパカ・シルクなど)
【1】型取りをする

100円ショップなどで売っている白い型紙(厚紙)を準備し、洗う前に型を取る。乾燥後に縮んだ場合は、仕上げの際に、型に合わせてアイロンをかけて元の大きさに戻す。
【2】毛玉を取る

ニットの中でもカシミヤは特に毛玉がつきやすい素材。洗う前に毛玉取り器などで丁寧に毛玉を取り除いてから、手洗いしよう。
【3】ヨレた袖や裾を修復しておく

ウールやカシミヤなどの袖口や裾は洗濯中にヨレやすい。洗う前に針に通した糸でザクザクに並縫いを行った後で糸を引っ張り、袖口や裾を縫い縮めてから洗うとヨレが直る。
【4】つけ洗いをする

洗い桶か洗面台に人肌の温度の湯を張り、おしゃれ着用洗剤を、水4Lに対し10ml入れ、その中で衣類を軽く上下させてやさしく洗う。その後10分つけ置きをする。
【5】1分間、脱水にかける

【4】をネットに入れ、洗濯機の脱水に1分かける。洗濯コースはどれを選んでもOK。遠心力で洗剤が飛ぶため、すすぎも楽になる。
【6】すすぎ後、1分間脱水を行う

洗い桶などにぬるめの湯を張り、ネットから出した衣類を入れ、軽く揺らしながらすすぐ。水を捨てて再度水を張り、規定量の柔軟剤を溶かし、5分間つけた後、ネットに入れ1分間の脱水を行う。
【7】陰干しする

平干しネットや、風呂のふたなどの上に衣類を置き、手でしわをやさしく伸ばして陰干しする。
【8】アイロンで整え、仕上げる

完全に乾いたら、糸をつけたまま、スチームアイロンを衣類から1cmほど浮かせるイメージでかけ、糸をはずし、全体に洋服ブラシをかける。縮んだ場合は、【1】の型の上にニットを置き、そのサイズになるように手で少しずつ伸ばしながらアイロンをかける。
◆教えてくれたのは:おうちクリーニング研究家・ハナさん
自宅でのクリーニング歴は20年以上。ブログ「ハナの洗濯ラボノート」では失敗しないための自宅クリーニングのノウハウを公開している。
◆教えてくれたのは:ライオンお洗濯マイスター・大貫和泉さん
消費生活アドバイザー、繊維製品品質管理士、健康予防管理専門士でもある。洗濯用洗剤などの製品開発・調査に約20年携わる。
取材・文/廉屋友美乃
※女性セブン2025年4月17日号