健康・医療

「やめたいのにやめられない」スマホ依存の恐怖、“いつでもどこでも使える”ことが最大の要因 ストレスを抱えやすい50〜60代の女性は「依存しやすい傾向」 

50〜60代の女性はスマホに依存しやすい傾向

続けて奥村さんは、「50〜60代の女性はスマホに依存しやすい傾向がある」と指摘する。

「この年代はまだ忙しくて働き盛りである一方、親の介護が始まったり、子育てや自分自身の老後に不安を感じるなどで、非常にストレスを抱えやすい。人間関係も複雑な世代なので、心にゆとりがないままスマホを使って調べ物や買い物、家族や職場、第三者とのコミュニケーションに追われるケースも多いでしょう。その結果として、スマホ依存が進みやすいと考えられます」

世にはさまざまな健康情報があふれて、サプリや健康食品が飛ぶように売れる。日本人はそれほど健康志向が高いのに、なぜスマホについては不用心なのかと、奥村さんが問いかける。

「日本人は塩分や糖分に気をつけて食べ物を厳選しますよね。それなのになぜか、情報に対しては無防備。多くの人はスマホからたくさんの情報を得るほど有益だと思っているけど、実態はまったく逆で、スマホ依存は情報の暴飲暴食を続けているようなものです。おかげで脳内のゴミ屋敷化がいっそう進んで、取り返しがつかなくなる可能性があります」

寝る前のベッドでスマホをいじるのはNG(写真/PIXTA)
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こうした危険を避けるためには、「脱スマホ依存」を進める必要がある。その第一歩は、とにかくスマホから物理的距離を取ることだ。

「最も気をつけてほしいのは、ベッドにスマホを持ち込むことをやめて“寝る前にスマホ、起きたらスマホ”という状況を作らないこと。一日のなかでまったくスマホを見ないのはムリなので、使わなくてもいい『デジタルデトックス』の時間を見つけて、その間は電源を切るか、手元に置かないことなどが必要です」(樋口さん)

奥村さんは「意識改革」を提唱する。

「仕事や調べ物など、明確な目的があって使う分には構わないんです。ダメなのはながらスマホをしたり、いつまでもダラダラとネットサーフィンを続けること。一日のうちひとりでぼんやりとする時間は生産性がないようで、実は脳がリフレッシュされ、いいアイディアが浮かんだり、心を落ち着かせたりする大切な時間。そんな貴重なひとときをスマホに奪われるのは、失うものが多すぎます。だからまずはスマホに対する意識を変えてほしい」

スマホを使いこなして人生を豊かにするか、スマホに使いこなされて健康を害するか。決めるのはスマホではなく、あなたなのだ。

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※女性セブン2025年5月29日号

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