寿命を左右する血管のメカニズム「高血圧で動脈硬化が進行」「糖尿病で血管の細胞が傷つく」「プラークと呼ばれる脂肪の塊も危険」…冷たいものを飲んで胸が痛む場合は注意
いい血管には基準となる数値がある
健康長寿を望むなら「100年長持ちする血管」は必須の条件だ。
「私の母親は今年満100才になりました。高血圧の持病はありますが、降圧剤をのみながら元気に暮らしています。年を重ねれば誰でも動脈硬化は進みますが、対処すれば血管を100年長持ちさせることは可能です」(上月さん)
実際、「長寿のまち」で知られる京都府京丹後市の高齢者の血管年齢を見てみると、全国の平均値と比べて約10才も若い。高沢さんは、「100年長持ちする血管」を育てたいなら、まずは健康状態を把握してほしいと訴える。
「血管を老化させる主な要因は高血圧、糖尿病、高コレステロール、喫煙の4つです。これらに当てはまらない人はいい血管を持っているといえる。1つでも当てはまる人は、心筋梗塞や脳梗塞になる確率が3倍高い。現状を知るために年1回は健康診断を受けて、数値を確認しましょう。
基準となる数値があり、血圧の収縮期(上の血圧)は140mmHg以下、血糖値はHbA1cの値が6.5%未満、悪玉コレステロールといわれるLDLコレステロール値は140mg/dL未満です」

渡辺さんは、「血圧・血糖・コレステロールは、数値が異常に高ければ薬を使ってでも管理すべき」だと話す。だが高齢になると“血圧を下げるのが怖い”という人もいる。降圧剤をのみ始めてから母親の元気がなくなり、転倒しかけたと話すのは千葉県在住の会社員Iさん(32才、女性)だ。
「元気でしょっちゅう友達と遊びに出かけていた61才の母ですが、この春、いつも通っている整形外科で高血圧だと診断されて降圧剤をのみ始めました。するとなんとなく元気がなくなって、家に閉じこもりがちになってしまった。立ちくらみがして転倒しそうにもなったので、私が付き添って病院に行き、薬をやめさせたところ元に戻りました」
上月さんは、「血圧はゆっくり下げるのが基本」だと話す。
「血圧の下げすぎには注意が必要です。下げすぎるとふらつく人もいるので、降圧剤は少ない量から始めて、ゆっくりと下げていきます。治療を受ける際は、高血圧専門医の診察を受けるようにしてください」
(後編に続く)
※女性セブン2025年7月17日号