
命や健康を守る薬が、知らないうちにあなたの命を蝕んでいることがある──いくらそう言われても、薬をやめたり減らすのは不安で、勇気が出ない人が多いだろう。しかし、これさえ読めば大丈夫。薬の専門家たちが語る「断薬」「減薬」の“処方箋”を一読してほしい。第2回では、注意すべき薬の副作用について紹介する。【全3回の第2回。第1回から読む】
整形外科で処方される危険な薬
都内在住のBさん(71才)は昨年、痛み止めが原因で血圧が急上昇した。
「もともと高血圧で10年前から降圧剤を服用していました。上の血圧が130mmHgで安定していたのですが、突然150mmHgまで上昇。降圧剤を1種類増やしましたが、下がらなくて。
不安だったので、いつもお世話になっている薬局に相談したら、解熱鎮痛薬の副作用を指摘されました。確かにひざが痛くなって、整形外科で処方されたNSAIDs(エヌセイズ)系の痛み止めを服用していたんです。アセトアミノフェンが主成分の痛み止めに変えたら、数週間で血圧は下がり、降圧剤も1種類に戻りました」
Bさんのような事例は珍しくはない。薬をのめば血液を介して全身に成分が回るので、思わぬ不調が生じる可能性があるのだ。
副作用を起こしやすい薬にはどのようなものがあるのか。国際医療福祉大学病院内科学教授の一石英一郎さんが言う。
「ベンゾジアゼピン系の睡眠薬には、ふらつきや認知障害、依存性があり、ロキソプロフェンナトリウム水和物に代表されるNSAIDs系の解熱鎮痛薬は、長期服用で胃潰瘍や腎障害のリスクが高くなります。胃腸の不調や呼吸器疾患、パーキンソン病などに使われる抗コリン作用薬は、副作用で便秘や尿が出なくなることがあります」

大手製薬会社社員が重ねる。
「抗コリン作用薬は強い副作用があるにもかかわらず効果も強いため、あらゆる市販薬に使われがちです」
一般的に、薬は効き目が強いほど、強い副作用が出やすい。なかでも鎮痛剤に気をつけるべきだと話すのは、日本初の「薬やめる科」を設けた松田医院和漢堂院長の松田史彦さんだ。
「NSAIDsもリスクの高い薬ですが、プレガバリンやミロガバリンベシル酸塩のような神経障害性疼痛緩和薬は、脳の中枢神経に働きかける薬なのでめまいや意識喪失の副作用がある。薬をのんで意識がなくなり、交通事故を起こした人もいます。慎重に処方すべき薬なのに、整形外科などではちょっとした痛みで処方されることがあるので注意してほしい」
千葉県在住のCさん(48才)の母親(76才)は急に立ちくらみが起きるようになり、家の中で転倒しかけることが増えた。
「複数の降圧剤を服用していることは知っていたので、“もしかして低血圧?”と思ったんです。主治医に相談したところ、血圧が下がりすぎている可能性があると言われ、降圧剤を1つ減らすことになりました。するとすぐに以前の元気な母に戻り、毎朝の散歩も楽しめるようになりました」
銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘さんは、血圧などの基準値はあくまでも目安にしてほしいと話す。
「高齢になると誰でも血管が硬くなるので、全身に血液を送るために血圧は自然と上昇します。75才以上では高血圧による疾病よりも、血圧を下げすぎることによるふらつきや転倒のリスクの方が大きいと指摘されている。血圧を下げるときは、個人の体力や状態に応じた目標設定が必須です」

(第3回に続く)
※女性セブン2025年9月4日号