
加齢とともに、「髪のボリュームが減った」「分け目が気になる」「薄毛で髪型が決まらない」などの悩みを抱える女性が増えています。でも、ヘアメイクやウィッグなどの工夫で、ふんわりボリュームアップは可能!年齢を感じさせない-5才髪を作るヒントをご紹介。
頭皮にも忍び寄る加齢の影響…放置せず、日々のケアを心がけて
「薄毛の大きな要因は加齢です。とくに女性は更年期になると、女性ホルモンが減少し、髪の成長サイクルが乱れがちに。頭皮の血行も悪くなり、髪が細くなったり、育つ前に抜けやすくなります」(赤須医院院長・医学博士の赤須玲子さん)
さらに、ストレスや寝不足、栄養の偏り、紫外線などの影響も髪の成長を妨げる、と余慶尚美さん。こうした状態を放置すればするほど、薄毛は悪化の一途をたどる。
「加齢とともに髪の状態は変化しますが、意識してケアしていけば、年齢を重ねても髪のおしゃれを楽しむことはできますよ」(「MINX ginza」美容師・ディレクターの八木花子さん)

分け目の透け感が気になったきっかけは?
・髪型のセットが思い通りにならず、時間がかかるようになった
・髪を結んだときに毛束が細くなったように感じた
・他人透け感を見て自分も気になったから
・洗髪後の髪が濡れた自分を見たとき
・自分が映る写真を見たとき
※分け目の透け感に悩む40~60代女性3653名
調査期間:2024年4月~5月
大正製薬による調査より(ジャストシステムに調査委託、WEB調査)
年代で変わる、毛髪の変化
髪の悩みは、年齢とともに変化。30代と同じようなヘアスタイル、ヘアケアでは対処できなくなってくる。
30代~
切れ毛やうねり、白髪が出始め、頭頂部から少しずつ本数が減少する
40代前後~
髪全体のハリやコシが低下し、分け目が目立ちやすくなってくる
50代前後~
閉経などで女性ホルモンが減少することで抜け毛が増え、さらに薄くなってくる
あなたの髪は大丈夫?生活習慣をチェック!
チェックの数が多いほど、薄毛になる可能性がアップ。毎日の生活習慣は、髪に大きく影響する。

□朝シャンをしている
□洗髪後タオルでゴシゴシ拭いている
□早く乾かすためにドライヤーは高温でかける
□2~3週間おきにこまめにヘアカラーや
□白髪染めをしている
□睡眠不足気味である
□目の疲れや首・肩のコリが慢性化している
□下を向いてスマホを見ている時間が長い

生活習慣で薄毛を予防
薄毛予防には、まず、頭皮の血行を促すことが大切。こまめなブラッシングや頭皮マッサージを習慣にして、髪に必要な栄養を届けやすくして。
【1】髪に必要な栄養を摂る
「髪の健康には内側からの栄養補給も大切。髪や肌のもととなるたんぱく質やビタミンB群、亜鉛、鉄分を摂ることを心がけて」(赤須さん)
「栄養バランスのよい和食がおすすめですが、不足分は手軽にサプリメントで補ってもOKです」(ヘアケアリスト(毛髪診断士)・美容家の余慶尚美さん)
【2】十分な睡眠を取る
「22時~2時の“ゴールデンタイム”は、成長ホルモンの分泌が活発になり、髪の生成が進む大切な時間。寝る前はスマホやPCを見るのを控えて、眠りの質を高めて」(余慶さん)
【3】頭皮マッサージで血流をアップ
「マッサージで凝り固まった頭皮をほぐし、血流促進を。健康な髪の成長をサポートしてくれます」(赤須さん)
「毎日のブラッシングも頭皮に心地よい刺激を与え、血行促進に効果的。毛根に栄養が届きやすくなります」(余慶さん)
《5本の指の腹を使って、頭全体をマッサージ》
頭皮をやさしくつかみながら動かす。後頭部から側頭部、頭頂部をめざしながら上に引き上げるように、まんべんなく刺激を。

《両手をグーにしてこめかみをマッサージ》
両手を軽くグーにして、指の第二関節あたりをこめかみにあて、小さな円を描く。血流が促され、目の疲れや頭の重だるさの解消にもつながる。

《ブラッシングでも血流アップ!》
「頭皮をやわらかくし、血流を促すためにはブラッシングがとても効果的。朝起きてから寝るまでに1日に4回以上は髪をとかすようにしています」(赤須さん)


「シリコンヘアブラシはシャンプー時の頭皮ケアにおすすめ。頭皮用美容液をつけるときにも◎」(余慶さん)

濡れている髪にも乾いた髪にもコーミングは大切。絡みをほぐして頭皮への負担を減らし、髪もまとまりやすくなる。

「くしやブラシで髪の絡みを取ってから洗髪をすることで抜け毛予防に」(赤須さん)
【4】耳や首・肩周りをほぐしてコリを解消&血流アップ
「肩や首のコリが和らぐと、頭皮にも栄養が届きやすくなります。デスクワークやスマホ疲れが気になったら、こまめなエクササイズで首・肩周りを伸ばし、頭皮への血流を促して」(赤須さん)
《肩回しストレッチ》
両手を肩に置き、前・後ろ回しを行う。肩甲骨周辺が緩み、リンパの流れがよくなり老廃物の排出がスムーズに。

《首・肩ストレッチ》
肩をぎゅっとすくめてからストンと落とす動きを数回繰り返す。血行が促進され、首や肩周りが温かくなる。

《首ストレッチ》
背筋を伸ばして座り、左手を頭の右側に添える。息を吐きながら、ゆっくり頭を倒し、首を伸ばす。反対側も同様に。

《耳ほぐしストレッチ》
両耳をつまみ、上下・左右にやさしく引っ張ったり、円を描くように回して刺激を。耳が赤くなってきたら血行がよくなってきた証拠。

【5】いまある髪を守る洗い方~乾かし方を
「洗髪前にまずはブラッシング。そして予洗い後にシャンプーを。予洗いをすれば頭皮や髪をガシガシ洗わずに済むので、抜け毛予防にも効果的です」(余慶さん)
しっかり洗い流すことも心掛けて。
《予洗いをしっかり!2~3分で汚れは落ちる》
「ぬるま湯で2~3分洗い流すだけで、汗やホコリ、整髪料の約7割の汚れは落ちます。頭皮を指の腹でやさしくなでるように洗い、地肌まで十分にお湯を行き渡らせて」(余慶さん)

《洗髪は頭皮をやさしく洗い、髪は残り泡でなでる程度に》
「頭皮の毛穴汚れや皮脂を落とすのがシャンプーの目的。泡で頭皮全体を洗ったら、髪は泡でなでる程度で十分」(余慶さん)
「洗髪は夜がおすすめ。その日の汚れを落としてから就寝を」(八木さん)




《吸水性のよいタオルでしっかり&やさしくタオルドライ》
「タオルドライが不十分だと、ドライヤーの時間が長くなり、熱によるダメージも。しっかりタオルドライすることで、ドライヤーの熱から髪を守り、頭皮の蒸れや菌の繁殖も防げます」(八木さん)

《根元からしっかりドライヤーで乾かす》
「自然乾燥は頭皮が蒸れ、かゆみや臭いの原因に。頭皮環境が悪化するため、抜け毛の原因にも。正しく乾かすと、寝ぐせ防止や朝のスタイリングのしやすさにもつながります」(八木さん)
・髪を持ち上げて根元に風をあてる
根元と頭皮を中心にドライヤーの風をあて、さまざまな方向に指で髪を持ち上げながら乾かすとふんわりとした仕上がりに。

・20cmほど離して下から風をあてる
ドライヤーは髪から離し、根元を立ち上がらせるように下から風を当てて。高温のドライヤーを避けると、ダメージも軽減できる。

【6】髪や頭皮の老化を進める紫外線対策を徹底
「紫外線の影響で頭皮が乾燥・炎症を起こすと毛根の働きが弱まり、抜け毛や薄毛が進行。老化を早める原因になります。帽子や日傘、UVカットスプレーで対策をし、頭皮の健康を守って」(赤須さん)

【7】頭皮のケア剤で発毛・抜け毛を予防
「日々のお手入れにプラスして、ケア剤を使うことで、より血行が促進され、毛根に栄養が届きやすくなります。これにより、髪の成長が促され、薄毛対策や抜け毛の予防になりますよ」(余慶さん)


ヘアメイクで薄毛をカバー
分け目を変えたり、後頭部にふんわりボリュームを出して薄毛をカバーする方法も効果的。パウダー等で薄くなった分け目をカバーしても!
【カバーPoint1】分け目を変える
「同じ分け目を続けていると、紫外線や摩擦の影響でその部分の頭皮や毛根に負担がかかりやすくなります。前髪を作ったり、分け目を変えることで、頭皮へのダメージを分散でき、薄毛予防につながります」(八木さん)
【1】トップの分け目をジグザグにドライヤー
分け目を指でジグザグにしながらドライヤーをあてる。
「地肌の直線を、点にする意識で」(八木さん)
【2】ハードスプレーで形をキープする
ふんわり自然なボリュームが出たら、仕上げにハードスプレーで固定。長時間キープ!

《気付きにくい、後ろのつむじの割れもカバー》
見えにくい後頭部のつむじの割れも、薄くなりがちな場所。

「つむじ部分に近い毛束を少量取り、毛流れと逆方向に寄せて根元にドライヤーの風をあて、ボリュームを出すのが効果的」(八木さん)

《分け目をパウダーで隠すだけなら手軽!》
気になる部分にパウダーをのせ、地肌の透け感を自然にカバー。色を合わせることで目立ちにくく簡単にカバーできる。


【カバーPoint2】後頭部にボリュームを作る
「後頭部にボリュームを出すと、全体のシルエットがふんわり上品に」(八木さん)
「髪の根元が立ち上がることで頭皮の血行が促進され、健康な髪を育てる土台づくりにもなります」(余慶さん)

《マジックカーラーで簡単ボリュームアップ》
【1】耳上の頭頂部の毛をジグザグに取る
耳上からまっすぐ頭頂部につながるあたりの毛束を取る。ジグザグに取ることで自然な仕上がりに。

【2】ピンと張り、毛先から巻きつける
取った毛束をピンと張ってカーラーに巻きつける。根元から立ち上がり、持続力のあるボリュームに。

【3】2個目を後ろに巻き、ドライヤーをあてる
よりボリュームを出すなら2個目を巻く。ドライヤーをあて、熱で髪を固定し、ボリュームキープ。
「髪の長さに合わせて大きめカーラーを選んで。慣れている人はヘアアイロンやホットカーラーでも◎」

小物使いで薄毛をカバー
ヘアバンドなどの小物を使って、気になる薄毛部分をおしゃれにカバー。
「髪に負担をかけず、簡単に取り入れられるので、便利です。気分に合わせて楽しんで」(八木さん)

太めのヘアバンドでこめかみ&頭頂部をカバー
「太めのヘアバンドは、こめかみや頭頂部など、薄毛や白髪が気になる部分をしっかりカバー。地肌の透け感を隠しつつ、視線をそらす効果もあるため、自然にボリューム感のある印象に」(八木さん)
【1】手ぐしで後ろにまとめる
手でざくっとまとめて束ねると、自然なボリュームを出すことができる。

【2】後頭部から毛を引き出す
後頭部の毛を少し引き出すことでシルエットに丸みが出て、若々しく見える。

【3】サイドの後れ毛を出す
後れ毛でこめかみや生え際をカバー。顔周りにやわらかさの演出も。

《スカーフを使っても》
「スカーフなら、カバーできる範囲を自由に調整できるメリットも。結び目に長短をつけることでおしゃれ度もアップ」(八木さん)

いつもと分け目を大きく変え、印象的なアクセサリーで視線そらし
「分け目を変えて薄毛の進行を防止し、大きめのアクセサリーを使うことで、気になる部分から視線をそらすことができます」(八木さん)

髪をジグザグに取ってから、片側にざっくりと持っていく。イヤリングに目が行くよう耳を見せて。

薄毛が気になり出したら、まずは“部分ウィッグ”で、気軽にデビュー
最近のウィッグは自然な仕上がりで、手軽に扱えるのが魅力。
「だいぶ薄くなってからつけるより、少し薄毛が気になり始めたな、くらいのタイミングで、小さめの部分ウィッグから始めるのがおすすめです。ウィッグが違和感なくなじみやすいので。髪がふっくらすると気分が明るくなりますし、ファッションに合わせて、スタイルチェンジができるのも楽しいですよ」(フラッティス・平 真砂美さん・以下同)
髪の悩みを前向きに変える選択肢、ぜひ取り入れて!
ウィッグの種類
《人毛》
見た目:自然
お手入れ法:シャンプー、コンディショナー後に保湿ケアが必要。自毛と同じ手入れ法
特徴:自毛とのなじみがよいので自然な仕上がり。手入れ次第で長持ちする。パーマやカラーも可能
《人毛+人工毛のミックス》
見た目:やや光沢あり
お手入れ法:シャンプー、コンディショナー後に保湿ケアが必要。加えて、静電気が起きやすくなるためケアが必要。乾燥はないが寿命が短い
特徴:キープ力がありデザインが豊富。初心者にも扱いやすい。パーマやカラーはできない。人工毛より自然
《人工毛》
見た目:ツヤ・光沢が強い
お手入れ法:シャンプー、コンディショナー後に静電気ケアが必要。乾燥はないが寿命が短い
特徴:手ぐしで髪型が決まり、扱いやすい。光沢が強めなので若い人向き。ややチープ感あり。低価格
手軽なウィッグで薄毛をカバー
気になる薄毛も、部分ウィッグならつけるだけですぐにボリュームアップ!自然な仕上がりで、つけているのがわからないほど。一気に若見えするのもうれしい。
【お悩み1】こめかみ周辺の薄さが気になる人は…“前髪ウィッグ”でカバー

《パチッとつけて》
生え際から指一本分上にウィッグの端を垂直にのせ、上から軽く押すだけで簡単に自毛につけられる。

《なじませるだけ》
ブラシを使って、ウィッグと自毛を合わせるようにとかす。毛並みを整えていくことで、自毛となじんでいく。
こめかみ周辺のスカスカした薄さが気になる人にとって、“前髪ウィッグ”は手軽で効果的なカバー方法のひとつ。
「ほんの少しの量でも、予想以上に見た目が変わるのを実感できるはず」

使用したのは「人毛100% シースルー前髪ウィッグ」(3630円/フラッティス)。

【お悩み2】分け目の地肌が気になる人は…“分け目ウィッグ”でカバー
頭頂部のボリュームダウンや分け目の透け感が気になる人は、“分け目ウィッグ”を。

「頭頂部をカバー&ナチュラルな地肌付きなので、分け目の不自然さを感じさせません」
使用したのは「人毛100% 分け目ウィッグI型」(1万9800円/フラッティス)。

【お悩み3】つむじ&分け目&こめかみの薄さが気になる人は…より広めにカバー
髪全体の薄さが気になる人は、より広範囲をカバーできるウィッグを。
「薄毛と白髪は同時に進行しやすく、白髪でより薄毛が際立つことも。これなら“薄毛+白髪”の悩みを一度に解消できます」

使用したのは「人毛100% 分け目ウィッグ ミディアム」(3万3940円~/フラッティス)。

《イメチェンも楽しめる》
「2種類持っていることで、シーン別にイメチェンができるだけでなく、1個の耐用年数が延びるのでおすすめです!」

※商品価格は編集部調べです。
◆教えてくれたのは:赤須医院院長・医学博士 赤須玲子さん

皮膚科学に基づいた美容医療を実践。確かな臨床経験と美容に精通したきめ細かな診療に定評がある。
◆教えてくれたのは:ヘアケアリスト(毛髪診断士)・美容家 余慶尚美さん

広告宣伝の仕事に従事した後、美容家に転身。ヘアケアリストとしても活躍。著書に『髪トレ』(主婦の友社)。
◆教えてくれたのは:「MINX ginza」美容師・ディレクター 八木花子さん

手入れが簡単で個性を引き出す大人女性のヘアスタイルが得意。共著に『女の年齢は髪で決まる』(扶桑社)。
◆教えてくれたのは:フラッティス・平 真砂美さん

ウィッグ専門店「フラッティス」ディレクター。医療美容師、臨床化粧療法士(R)。薄毛の相談やウィッグの販売を手がける。
https://shop.flat-ease.jp
撮影/平林直己 ヘアメイク/千葉智子(ロッセット) 取材・文/近藤鈴佳
※女性セブン2025年9月11日号