健康・医療

《いつまでも自力で歩ける体の要は“股関節”》1日1分トレーニング&股関節のズレを防ぐ習慣を医師らが解説

人体模型の骨盤
骨折、転倒、関節疾患など、下半身の不調を感じている人は、まず股関節から(写真/PIXTA)
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歩く、立つなどの動作に欠かせない股関節。加齢や姿勢の悪さ、間違った生活習慣などで負担がかかると、やがて立てなくなるなど歩行困難に。だからこそ、股関節まわりの筋肉を鍛え、位置を正せば一生歩ける体になれる!

股関節の位置のズレがあらゆる不具合を招く

股関節は体を動かす上で最も重要な関節だが、「それゆえ股関節には負担がかかりやすい」と整形外科医の宇都宮啓さんは言う。

「両足で立っているだけで股関節には体重の30〜40%、普通に歩くだけでも体重の3〜4倍の負担がかかるとされています。

特に肥満の場合は股関節に大きな負担がかかり、猫背など誤った姿勢でいると股関節が正しく機能できません。すると股関節の軟骨がすり減り、体がうまく支えられなくなって痛みが出たり、歩行困難や転倒リスクが増加。起き上がれなくなるなどの症状も現れます。これらを防ぐためには股関節まわりの筋肉にスイッチを入れ、寛骨臼(かんこつきゅう )というくぼみに股関節が正しくはまった状態にして、スムーズに動かせるようにすることが必要です」

股関節まわりの筋肉が鍛えられるとさまざまなメリットが期待できる。整体師の南雅子さんが説明する。

「股関節を正しい位置にキープできるようになると、転びにくくバランスのとれた姿勢になります。さらに、代謝がよくなり、血行不良も改善されます。すると疲れにくくなり、よく眠れて、ダイエット効果もあるのです。運動は、1日1分程度で構いません。毎日続けることで確実に効果が表れます」

ダイエットに加え、ぽっこりお腹の改善効果もあるというから、さっそくトレーニングを始めてみよう!

股関節を鍛えるストレッチ

いくつになっても、股関節まわりの筋肉を鍛えることで、股関節を正しい位置に戻すことができる。その筋肉にアプローチする前に、指先から足首をほぐしておこう。

グーグー・パタパタ体操

足の指、足首、足の裏の筋肉をほぐすことで、股関節まわりの筋肉もほぐれる。一日をこの体操で始めれば、体を動かしやすくなる。

【1】壁を背にして座り、足は股関節の幅に開く。かかとを立て足先を90度になるように上げ、両腕は体に沿って下ろし、手先を床につける。このとき、手の親指は自然に床につける。

壁に背をつけて座る女性
お腹が出ないように。足先は90度に上げる(イラスト/TOKUDOME)
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【2】足裏にしわが寄るようなイメージで、左の足指にグーッと力を入れてにぎる。

左足指をにぎっている女性
左の足指に力を入れてにぎる(イラスト/TOKUDOME)
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【3】左の足首の力を抜いて前に伸ばす。できるだけ足の甲が平らになるように伸ばそう。

左足の甲を伸ばす女性
左足の甲が平らになるように伸ばす(イラスト/TOKUDOME)
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【4】足の位置を元に戻し、かかとが床から1cmくらい浮くようにひざ裏を伸ばす。右足も同様に。【1】~【4】を1日1回、1分を目安に左右交互に行う。

かかとを1cmほど浮かせている
かかとを1cmほど浮かせる(イラスト/TOKUDOME)
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バード&ドッグ

「インナーマッスルにスイッチを入れ、股関節を正しい位置に戻す体操です。背中のストレッチにもなるので肩こりや腰痛予防にもなります。寝起きや寝る前にやるのも◎」(宇都宮さん)

【1】両ひざを床につけ、四つん這いになり、背中を丸める。呼吸は自然に。

四つん這いで背中を丸める女性
背中を丸める(イラスト/TOKUDOME)
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【2】顔を上げ、みぞおちを床に近づけるようなイメージで首を前に伸ばして背中をそらす。

四つん這いで背中をそらす女性
背中をそらす(イラスト/TOKUDOME)
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【3】右手で床を押しながら、左手を前にまっすぐ伸ばして手のひらを上に向ける。

四つん這いで左腕を前に出す女性
目線は前を見て、手で床を押す(イラスト/TOKUDOME)
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【4】右足を上げ、つま先を伸ばす。左足のつま先もまっすぐ伸ばす。この姿勢をキープしたまま、3秒鼻から息を吸い、5秒かけて口から吐く。この呼吸を8回行う。反対も同様に【1】〜【4】を行う。1日1〜2回を目安に。

四つん這いで左腕を前に出し、右足を上げる女性
顔は正面を向き、背中を伸ばす(イラスト/TOKUDOME)
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股関節と骨盤まわりの筋肉をほぐし、骨盤を正しい位置にする。フラフープのイメージでゆっくり回すと効果的。ウエストのくびれも期待できる。

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