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68歳オバ記者が“学歴詐称問題”で注目「伊東市」へ さびれたシャッター街に愕然「田久保長はこの伊東をどうしようとしたのか」

なにかと話題の伊東市を訪れたオバ記者
なにかと話題の伊東市を訪れたオバ記者
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市長の学歴詐称問題はいまだに解決せず、不本意な形で注目を集めている「伊東市」。以前から旅行などで来ていた同市をオバ記者ことライターの野原広子(68歳)が訪れた。そこで見た驚きべき光景とは──?

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いま話題の「伊東」へ

毎日、テレビやYouTubeで「伊東」「伊東」と聞いていたら指は勝手に「Booking .com」で止まった。伊東に行くなら、いつもなら定宿と決めているゴルフ場の真ん中のリゾートホテルに泊まるんだけど、今回は朝夕食バイキング付き8600円の「伊藤園ホテル松川館」に決めた。ここはずいぶん前に何度か泊まったことがあるんだよね。

交通手段はホテルに申し込んだら往復3000円で専用バスに乗せてくれる。これも昔、両親が生きていた頃に体験済みだ。安いしホテル横付けだから便利だけど途中、休憩をはさむから片道4時間かかる。

ずいぶん長いこと考えて、東京駅から伊東駅まで直通の特急踊り子号に乗ることにした。これだと片道2時間弱。で、料金は私はJR東日本の「大人の休日倶楽部」の会員だから3割引きで往復5420円。JR東日本の圏内だと乗車券は2日間有効だけれど、年に20 回まで使えるJR東日本以外の割引き枠を使えば4日間有効だ。

で、伊東に何しに行くかというと、話題の田久保市長についてのゆるい聞き込みと、街の雰囲気の調査と、湯治と、たまっている原稿書き。ま、松花堂弁当みたいな詰め合わせセットだよね。

シャッター街に愕然

さっそくホテルに着くそうそう100均に行く。宿泊料金からみて料理に期待する方が間違えているけれど、コーヒーだけはちゃんとドリップしたのを飲みたい。それで100均に買いに行こうというわけ。

宿を出て10分。いやもう歩いているだけで胸が潰れそうになったわよ。思えは私が伊東に来る時は道の駅のマリンタウンに直行だったから市内を歩いたのは20 年ぶりだ。店という店がシャッターが降りている。それもずいぶん前からなのはシャッターのサビが証明している。まぁね。日本中、地方はこんなものとわかっていたつもりだけど、バブル期の華やかな観光地だった伊東をこの目で見た記憶があるから、ショックがデカいんだわ。

バブル期の輝きから一転、静まり返った街角
バブル期の輝きから一転、静まり返った街角
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1990年代の始め、美味しい魚介類のイタリアンの店があると聞いて取材をしたことがある。「ん? もしやここ?」アーケード街を歩いていた時にそれらしき店を見つけたけど、パッと見たところアーケード街の8割のシャッターが降りているんだわ。平日だからなのか、誰かに聞こうにも、歩いている人がいないの。さっきから30分くらい街歩きをしているのに見かけた人は5本の指で数えられるくらい。

変わらない東洋館の眺め

変わらないのは、いでゆ橋からの東海館の眺めだ。前にここに来た時は親友のF子がものすごく美しい鳥、カワセミを見つけて「水がきれいなところでしか生息していないんだよ」と教えてくれたっけ。あれからもう20 年か。

湯橋から見える東海館
いでゆ橋から見える東海館
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街歩きに疲れて空を見上げたら気味の悪いほど赤い夕焼けで、案の定、翌々日には台風が九州に接近して北上を始めた。

低気圧に敏感な私はこうなるともう起きていられない。温泉に入ると爆睡してそれでも朝夕の食事時間にはきっちり起き出してたらふく食べた。

どこか恐ろしさを感じる赤い夕暮れ
どこか恐ろしさを感じる赤い夕暮れ
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そうそう、田久保市長の聞き込みね。100均でレジに並んだ時に、たくさん買い物していた40代後半らしき女性に「伊東、すっかり有名になっちゃいましたねー。で、実際、どうなんですか?」と話しかけてみたのよ。彼女が買った物を落としてそれを拾ってあげたタイミングでニッコリ笑って。

田久保市長は「話しかけやすいいい人」

聞き込みの面白いところは想像もできない答えが返ってくることだ。「ほんとにねぇ〜。テレビを見ていたら彼女の悪口しか聞こえてこないからすっかり悪者ですよねー」と言うんだわ。

「ほんとほんと! どんな悪人かと思っちゃう」と言うと、「私の友だちが、市長になる前のあの人と行きつけの喫茶店がいっしょで、『話しやすいいい人だったよ』と言うんです。だからなんで早い段階で間違いを認めたらよかったのになーとすごく残念」だって。

「前の市長がひどすぎたという話もありますよね?」と畳み掛けると、「ひゃはは。そんなこと、私はわかりませーん」と笑って逃げられちゃった。別れ際、「そうそう。市役所のまわりはマスコミだらけだそうですよ。お気をつけて」とも。

いよいよ翌日、帰宅しようと目が覚めたら部屋からも雨音が聞こえる。土砂降りだ。朝早く温泉に入ったが誰もいないのでシャッターを押した。

こんな素敵な温泉が貸し切り状態で入れた
こんな素敵な温泉が貸し切り状態で入れた
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それにしても田久保市長はこの寂れた伊東をどうしようと思っていたのかしら。就任してひと月足らずで学歴がどうしたと個人的なことで大騒ぎしている場合じゃなかったはずなんだけどなぁ。

「で、どうなんですか? 田久保さん、立候補したらまた返り咲きますかね」と、タクシーの運転手さんに聞いたら、「それはないでしょ!」とやけにキッパリ。

議会解散か辞職か。決める期限まで1週間を切っている。田久保さん、どうする?

伊東市これからどうなる?
田久保さんの選択は? 伊東市はこれからどうなる?
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◆ライター・オバ記者(野原広子)

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1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。

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